「中国の不動産の余剰在庫整理は2025年初めまで続く可能性がある。それに伴う住宅価格の下落は、短期的な個人消費にマイナスの影響を与える恐れがある」――。
スイス金融大手のUBSで大中華圏の消費財セクターのチーフアナリストを務める彭燕燕(クリスティーン・ポン)氏は1月8日、財新を含むメディアの取材に応じた際、そのような見方を示した。
彭氏は、中国の(個人消費の代表的な指標である)社会消費財小売総額が2024年は前年比5.5%の伸びにとどまり、2023年の6.5%を下回ると予想。さらに、2024年のGDP(国内総生産)成長率も(2023年の5.2%から)4.4%に減速すると予想する。
コロナ後も貯蓄率が高止まり
「過去3年間、中国の個人消費のパフォーマンスは(専門家の)予想を下回ってきた。その一因は、新型コロナウイルスの流行期に蓄積された過剰貯蓄が、その後も消費に回っていないことにある。これは欧米諸国などとは異なる傾向だ」。彭氏はそう指摘する。
彭氏によれば、アメリカではコロナ流行期の過剰貯蓄が2021年4~6月期から消費に向かい始めた。さらにインフレの要素が加わり、アメリカの過去3年間の小売り売上高はコロナ前を上回る成長率を記録した。
一方、UBSの試算によれば、中国の小売り売上高は2020年から2023年までの年平均成長率が4%と、(コロナ前の)2015年から2019年までの同10%から大きく低下している。
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