中国経済が予想外に弱い。7月17日に発表された2023年4~6月期の経済成長率は上海都市封鎖などで失速した前年同期との対比では6.3%だったが、季節調整済み前期比では0.8%と1~3月の2.2%から低下した。
2022年12月に動態ゼロコロナを解除して、2023年1月中頃に感染症が収束した時点では、V字回復も期待されていた。実際、1~3月期の経済成長率は4.5%とまずまず順調に回復していた。
しかし、ゼロコロナ解除後のペントアップ需要による回復は長続きせず、4~6月期に入ってから、景気回復の勢いは明らかに弱まった。6月は、消費を反映する小売売上高前年比が3.1%増と市場予想を下回ったほか、固定資産投資の年初来前年比も低下した(1~5月4.0%増→1~6月3.8%増)。
不動産の販売と投資も、年初から3月までは一時的に持ち直していたが、4月以降再び低調となった。年前半の商品不動産販売面積前年比は5.3%減、不動産開発投資前年比は7.9%減といずれも減少幅を拡大させた。物価も低調で、6月の消費者物価指数前年比は0%、生産者物価指数前年比は5.4%減となった。
リチャード・クー氏の講演が話題に
物価の弱さや不動産市場の調整の長期化などを受けて、中国では、最近、「日本化」の懸念、すなわち、1990年代以降バブル崩壊とデフレ長期化を経験した日本のようになるのではないかとの懸念の声が増えつつある。リチャード・クー氏が6月末に行った、バランスシート不況論に基づいて中国の「日本化」を懸念した講演が話題になっている。
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