広東省の住宅ローン残高減少について、汪氏は「主に繰り上げ返済の影響によるものだ」と説明した。同省の金融機関による2023年の個人向け住宅ローンの実行額は前年より1151億元(約2兆3943億円)増加した一方、繰り上げ返済が前年より2784億元(約5兆7913億円)も増えたという。
繰り上げ返済増加の背景にあるのは、過去1年余りの間に生じた中国の経済環境の変化だ。2022年以降、不動産市況の低迷が続いて住宅価格の上昇期待が低下。さらにコロナ禍の影響も加わり、(個人が住宅ローンを借り入れて行う)住宅投資のリスクが大幅に高まった。
理財商品への不安も一因か
それだけではない。不動産市況の悪化は、中国の個人投資家にとって余剰資金の主要な投資先の1つになっていた理財商品(高利回りの資産運用商品)の運用難をもたらした。一部の理財商品が償還不能に陥るケースも生じ、金融機関は販売する理財商品の元本・利回り保証を停止した。
そのため、(リスクの高い)理財商品に代わる余剰資金の受け皿を探す個人投資家の一部が、住宅ローンの繰り上げ返済に動いているもようだ。住宅ローンの支払金利と余剰資金の運用利回りを比較し、繰り上げ返済を選ぶほうが合理的と判断する個人投資家が増えているとみられる。
(財新記者:王婧)
※原文の配信は1月26日
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