中国「パワーショベル販売低迷」が映す景気の実態 国内不動産不況の長期化に輸出減速が追い打ち

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建設機械の販売動向は、中国経済の実態を反映する「映し鏡」だ。写真は中国の建設機械大手、三一重工のパワーショベル(同社ウェブサイトより)

代表的な建設機械であるパワーショベルの販売台数は、土木・建設業界の景気動向と密接に連動し、中国経済の現状を分析するための指標の1つになっている。

中国の建機業界の専門誌である「工程機械」は10月23日、建機市場の実地調査とデータ分析に基づき、2023年10月のパワーショベルの(国内販売と輸出を合計した)総販売台数が前年同月比約35%減の約1万3300台だったとする推計値を発表した。

同誌によれば、10月の国内市場の販売台数は前年同月比約43%減の約6500台にとどまった。一方、輸出は同約25%減の約6800台と、減少幅は国内市場より小さいものの、前月との比較では減少幅が拡大した。

国内需要の短期回復は望み薄

中国国内では不動産市況の低迷が長期化し、建機需要の縮小が続いている。中国建設機械工業協会のデータによれば、主要メーカーが2023年1月から9月までの間に国内市場で販売したパワーショベルは累計6万8100台と、前年同期比43.3%減少した。

2023年7月以降、中国各地の地方政府は住宅取得規制の緩和を段階的に進めることで、不動産市場の活性化を図っている。しかし建機業界内では、国内需要の短期間での回復は望み薄との見方が一般的だ。

「不動産市況の先行きに対する消費者の不安は依然として大きい。不動産開発業者も、当面は(物件の完成前に顧客に販売した)マンションの引き渡しと在庫整理が優先課題であり、新規着工は減り続けている。政府の刺激策の効果が住宅販売の最前線に及ぶまでには、まだ時間がかかる」。前出の工程機械誌は、そう分析する。

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