私たちが不確実な未来を想像して、不安にとらわれてしまう理由は、心の独特な働きにあります。
心とは、ほとんど常に「いま」ではなく「未来」のことを捉えています。濃淡はあるにせよ、何らかの未来を常に考えているものなのです。
しかもその心の動きは、まるで悲観的な占い師のよう。
ほんのわずかな可能性をたぐりよせては、ほとんどありえないような悲劇を、あたかも既成事実であるかのように思い込ませ、私たちを不安にさせるのです。
そんな一瞬がずっと積み重なっていくとすれば、平穏な日など一日たりとも訪れないことになります。
一生、未来のことを憂え続け、心配し続け、不安のうちに人生を終えてしまいかねません。
ですから、そのような苦しい状況はすぐさま改善したいものです。
方法① いままでと違う何かに集中する
シカゴ大学の研究によると、事前の情報や結果の良し悪しにかかわらず、行動することが事後の幸福度をアップさせるそうです。
要は「心配せずに、ともかく行動すること」こそ、幸福度を上げることにつながります。
「行動なんて難しい」という方には、とっておきのコツがあります。
「なるべく小さく始めること」です。
そもそも、多くの人が考える「最初の第1歩」は大きすぎるのです。
例えば、「朝起きるのがつらい人へのアドバイス」というと「生活習慣を整える」「定期的な運動をする」など、かなりハードルの高い事柄が挙げられることがあります。
たしかにそれは有効でしょう。
でも、起きる努力をするなら、まずはベッドで足の親指1本を動かしてみることからでも十分なはずです。
クエンティン・タランティーノの傑作『キル・ビル』に次のようなくだりがあります。
4年間の昏睡から目覚めたユマ・サーマンは下半身が麻痺しており、立ち上がるまでに13時間かかるのですが、はじめに挑戦したのは右の足親指を動かすことでした。
プロの殺し屋らしく、決して慌てません。
ユマ・サーマンいわく、指を回せれば「関門は突破」だそうです。さすがタランティーノです。