楽天・三木谷の自尊心、経団連を去った真意
楽天が6月23日、日本経団連に脱退届を提出した。同社の三木谷浩史社長は5月27日、突然、ツイッターに「そろそろ経団連を脱退しようかと思いますが、皆さんどう思いますか?」と書き込み、その理由を問う読者に対して、「電力業界を保護しようとする態度がゆるせない」と続けていた。
三木谷社長は電力事業のあり方について、発電と送電、配電を分けることなどを主張、発送配電を一体運営とする地域独占体制を支持する経団連の姿勢を批判していた。
ただ、三木谷社長は経団連を電力業界保護と批判こそしたものの、具体的な電力事業への参入やエネルギー政策提言などは行っていない。そこは、ソフトバンクの孫正義社長が定款を変更し、具体的にエネルギー事業参入の準備を進めている姿とは違う。
経団連にメリットなし
そんな中、脱退という手段に訴えたのはなぜか。「電力業界擁護」という個別テーマでの路線相違ばかりではない。規制緩和や会社制度といった三木谷社長の思い入れの強い分野についても、経団連の方針と隔たりが大きいと感じていたためだろう。
経団連に加入した2004年当時こそ、楽天はまだ創業間もない時期で、プロ野球参入などでブランドを確立するためにも、既成産業界からの支持は必要だった。
だが、今や楽天は営業利益637億円(10年12月期)、時価総額1兆円と堂々たる規模だ。楽天が主戦場とするネットサービスは、技術革新が速く参入障壁も低いため、制度的な保護の有効性は小さい。
三木谷社長がツイッターに「(経団連にいる利益は)ない」と言い切ったことも、十分に納得がいく。