紫式部が青春時代に直面した「悲しい2つの別れ」 母のように接した姉の死と、もう1つの別れ
紫式部には、年齢がそれほど違わない姉がいました。生まれて以来、ずっと一緒に暮してきたその姉が、994年頃(式部25歳頃)に亡くなります。
幼い頃に母を亡くした姉妹。式部は、母に甘えるように姉に接したこともあったのかもしれません。
姉が亡くなった傷が癒えなかった
994年前後には、疱瘡(天然痘)が大流行していたので、式部の姉も、この疫病の犠牲者になった可能性があります。大事な人を亡くした式部。その悲しみはなかなか癒えなかったようでした。
妹を亡くした女性と「互いに亡き人の代わりに姉妹になりましょう」と約束。手紙に「姉君」「中の君」(次女、妹)と書き、文通していたようです。
しかし、それぞれが、遠いところに旅立つこととなり、手紙でその別離を惜しむことになります。
式部は歌を詠みます。「北へ行く雁のつばさにことづてよ雲の上がき書き絶えずして」と。「北へ帰る雁に託してください。今まで通り手紙を絶やさないで」というような意味です。
そこには、いつまでも義理の姉妹でいましょうね、それを忘れないでねという式部の想いが込められているように感じます。それとともに、実姉を亡くした式部の心の痛みがスレートに伝わってきます。
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