恐怖すら感じる「トランプの選挙集会」のリアル 若者=民主党支持の構図は完全に崩壊している

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「(11月の本選挙は)6対4の割合で、トランプが勝つと思う」。人気の国際政治学者でコンサルティング会社ユーラシア・グループ社長のイアン・ブレマー氏が1月8日、記者会見でこう予言したのは、前回の原稿で紹介した。集会の現場に行って、彼の予言と予測は私にとってより現実的なものになった。

ただ、トランプ氏の演説を待つ間、大音響でかかる音楽だけは2016、2020年と変わらず、アップデートされていなかった。オペラ「トゥーランドット」の「誰も寝てはならぬ」は定番。ジョニー・キャッシュ、エルビス・プレスリー、エルトン・ジョンと続き、トランプ氏が登場する直前の盛り上げソングは「Y.M.C.A」(1978年)だった。

集会が終わり、凍てつく外に出ると、顔にペイントし、2021年1月の連邦議会議事堂襲撃事件で見たような大きな動物の角の被り物をした男性らが暗闇で踊っていた。演説の毒々しい内容と、恐怖感でドッと疲れが出て、足早にその場を離れた。

大統領指名候補に「王手」

ニューハンプシャー州は、大統領選予備選(プライマリー)の第1弾。1月15日の中西部アイオワ州党員集会(コーカス)に続いて注目される。トランプ氏は、アイオワ州に続いて、ニューハンプシャー州でも圧勝した。最初のアイオワ、ニューハンプシャー両州を制したことで、7月に開かれる共和党全国大会で、「大統領指名候補」に選ばれることに「王手」をかけた。

ニューハンプシャー州で圧勝を収めた3日後の1月26日、トランプ氏にデパートの試着室でレイプされたコラムニスト、E・ジーン・キャロル氏が名誉毀損として訴えた裁判で、ニューヨーク・マンハッタンの連邦地裁の陪審団は、トランプ氏に計8330万ドル(約123億4000万円)という巨額の損害賠償を支払うよう評決を下した。

レイプに関する裁判では、すでにキャロル氏が勝訴し、トランプ氏は有罪に。その判決後も、トランプ氏は「この女は知らない。自分のタイプでもない。彼女の話はフェイクだ」と主張を続け、同氏支持者らがキャロル氏に脅迫状を送った。キャロル氏は、ベッドに短銃を置いて寝るほど精神的ダメージを受け、その賠償を求めていたが、再度勝訴を勝ち取った。

違法行為により有罪判決と評決を続けて受けたトランプ氏に、米2州の支持者は「大統領指名候補」となる特急切符を与え、「トランプ・ワールド」の強さを見せつけた。

津山 恵子 ジャーナリスト

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つやま けいこ / Keiko Tsuyma

東京生まれ。共同通信社経済部記者として、通信、ハイテク、メディア業界を中心に取材。2003年、ビジネスニュース特派員として、ニューヨーク勤務。 06年、ニューヨークを拠点にフリーランスに転向。08年米大統領選挙で、オバマ大統領候補を予備選挙から大統領就任まで取材し、『AERA』に執筆した。米国の経済、政治について『AERA』ほか、「ウォール・ストリート・ジャーナル日本版」「HEAPS」に執筆。著書に『モバイルシフト 「スマホ×ソーシャル」ビジネス新戦略』(アスキーメディアワークス)など。X(旧ツイッター)はこちら

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