大阪桐蔭がベンチ外選手にも役割与えた納得理由 PL出身の指導者が植え付けたプライドと責任感
私が高校生のときから、PL学園は1年生でも練習することができていました。1980年頃の高校野球を考えると、部員が多い強豪校ほど、「1年生は夏までランニングと声出し。ちゃんと練習ができるのは、3年生が引退してから」という学校が多かったように思います。
今思えば、当時のPL学園のやり方は時代の先を行っていたのではないでしょうか。
チームの温度差をなくすのは一人ひとりの責任感
チームを強くするには一体感が大事ですが、その障壁となるのが、ベンチ入りメンバーとそうでないメンバーのチームに対する温度差だと私は考えていました。
そこで私が取り組んだのが、上級生一人ひとりに仕事を任せて、責任感を与えることでした。
「おれがいないと、野球部は回らない。休んでしまうと、誰かに迷惑がかかってしまう」と、一人ひとりが責任感を持つようになればチームへの愛着が湧き、「こいつらと一緒に優勝したい!」と思うようになるのではないかと考えたのです。
野球部の活動には、ボールやバットの用具管理、整理整頓、グラウンド整備、スコア整理など、練習以外にもさまざまな仕事があります。その一つひとつを、上級生一人ひとりに任せることにしました。
ボール係には、球数の管理を任せました。野球のボールは、もっともきれいな新球を試合で使い、試合で使えなくなったものをキャッチボール、ノックボール、バッティングボール、ティーボールと、一つずつ落としていきます。縫い目の糸がほつれてきたときには、カラーテープで覆うなどして補修をすることもあります。