大阪桐蔭がベンチ外選手にも役割与えた納得理由 PL出身の指導者が植え付けたプライドと責任感

拡大
縮小

チームに誇りを持つ。

その大切さを教えてもらったのは、PL学園での経験です。

私が甲子園、そしてその先のプロを目指し入学したPL学園では、日々の練習がきつく、逃げ出したくなることが何度もありました。平日は昼には授業が終わるため、13時過ぎから20時まで練習です。40年以上前の話ですから、理不尽な「説教」もありました。

「生まれ変わったあと、もう一度PL学園に入学するか?」と聞かれたら、「もちろん!」と即答できない自分がいます。

では、私自身なぜ辞めなかったのか—、いや、辞められなかったのか。たどりつく答えはいつも同じで、「PLだったから」。

憧れていたPL学園の野球部で、尊敬する監督さんや偉大な先輩たちと一緒に野球ができる。しかも、寮のスペースの関係で誰もが入れる野球部ではない場所に自分はいる。監督さんに認められたからこそ、PL学園のグラウンドで練習ができ、あのユニホームを着ることができるわけです。

3年間心身を鍛えることができれば、いずれはプロの世界も見えてくると本気で思っていました。厳しい上下関係で精神的にきつくなっても、PL学園で野球ができることにプライドを持っていたのです。

チームへのプライドがモチベーションの土台になる

大阪桐蔭に入学が決まった生徒たちにも、同じような話をよくしていました。

「『この学校に入学ができた。このユニホームを着て、野球ができる』という喜びを感じながら、学校やグラウンドに来てほしい」

まだ、創立されたばかりの学校であるため、いきなりこのレベルを求めるのは難しいことはわかっていました。それでも、言い続けることで、学校や野球部にプライドを持つようになってほしかったのです。

これは、社会人でも同じだと思います。働いている企業や自分の仕事に、どれだけ誇りを持っているか。それこそが、日々のモチベーションの土台になるのではないでしょうか。

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT