渋谷TSUTAYAの大変貌は復活の序章かもしれない 「インフラを作る」企業ミッションの再定義だ
言い換えれば、「モノ」消費を前提とする意味での「カルチュア・インフラ」はサブスクサービスに取って変わられたが、「体験」を軸にする消費を前提とする意味での「カルチュア・インフラ」は、まだまだ開発の余地があるということだ。
そして、この業態が成功して全国に広がれば、それは間違いなく新時代の「カルチュア・インフラ」になるのだ。
渋谷TSUTAYAの実験は成功するか?
絵空事にすぎないが、もし渋谷TSUTAYAが成功して全国に渋谷TSUTAYAのようなスペースが増えるのだとしたら、その拡大はわりあい簡単だと思う。というのも、ポップアップストアにしてもイベントスペースにしても、「空間」があればよいのであり、店舗開発には大きなコストがかからないからである。
「居抜き」での店舗開発も進むかもしれない。どちらかといえば、そのスペースをどのように運営していくのか、そのノウハウのほうが渋谷TSUTAYAにおいては重要になってくるだろう。その状況によっては、CCCは新しい「カルチュア・インフラ」を全国に展開していけるかもしれない。
このように、「カルチャーを通じて集まれる場所」を全国に作ることは、現代の文化の状況に対応した取り組みだといえる。そして、その取り組みの実験を、この新しい渋谷TSUTAYAで行うのではないだろうか。おまけに渋谷と言えば、たくさんの訪日客が訪れる場所でもある。そこで新たな「カルチュア・インフラ業」をするのは、日本文化を世界へと届けるうえでも、小さくない可能性を感じさせる。
そういえば、かつての渋谷TSUTAYAは、レンタル事業における新しい実験を行う「実験型店舗」として誕生したのがはじまりだった。そう考えると、今回のリニューアルは、CCCの原点である「カルチュア・インフラ」を新時代に即したものにするための「実験」を行う店舗なのだともいえそうだ。
渋谷TSUTAYAがどのようになるのか、まだ誰もわからない。しかし、近年業績が低迷するCCCにとっては、その企業理念を見直し、新しく生まれ変わるチャンスなのかもしれない。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら