渋谷TSUTAYAの大変貌は復活の序章かもしれない 「インフラを作る」企業ミッションの再定義だ

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そして、これがTSUTAYAに大打撃を与える。すでに多くのニュースで報じられているように、近年TSUTAYAの数は急激に減少し、最大手のフランチャイジーであった株式会社トップカルチャーが、レンタル事業から撤退するという動きも起こっている。

CCCの次なる変化は、企業ミッションに沿っている

では、新しい「カルチュア・インフラ」のカギはどこにあるか。TSUTAYAはそれを「文化を通じて交流できる場所」を作ることに求めているようだ。そこで、今回のTSUTAYA渋谷にやっと辿り着く。

TSUTAYAの強みは、リアルな空間を持っている、ということだ。これまではそのリアルな空間にコンテンツを並べ、それを全国に広げることが「カルチュア・インフラ」を作ることだったが、その役割がサブスクサービスに取って代わられるいま、企業のミッションを改めて見つめ直し、「リアルな場所」における新しい「カルチュア・インフラ」のあり方を模索したのが、今回のリニューアルだと私は思う。

具体的には、こういうことだ。今回メディアに発表された概要では、「5階・6階・7階の3フロアは、[…]コンテンツのファン同士がつながっていけるラウンジや書店、カフェを展開いたします」とある。

「ファン同士がつながっていける」というのが重要だ。近年、「推し」カルチャーが全盛だが、この流れを受けて、キャラクターカフェやポップアップショップ、また、アイドルによるインストアイベントなどが流行している。こうした試みが成功をおさめているのは、SNS上でのつながりを補完して、リアルな場所での「交流」を可能にする機能を持っているからだ。

SNS上では自分と推しを共有する人とコミュニケーションを取ることができるが、リアルで会える場所は、全国に少ない。コンテンツがたくさん揃っていても、リアルな場で「カルチャーを通じて交流する」場所は、まだまだ少ないのである。ここに「インフラ」を作る余地がある。

別にこれは、いわゆる「推し」カルチャーで想像されるような漫画やアニメなどに限らない。映画や音楽、あるいは小説などのファンダムでもいい。コンテンツの内容はなんでもよくて、とにかくそのファンが集まり、交流する場所を作ることに鉱脈がある。

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