アサヒが撤退「ストロング系」はなぜ広がったのか 「健全で持続可能な飲酒文化」は負け惜しみの感も

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

今回の主題である「アサヒのストロング系」で現在、市場に出回っているのは、実はセブンイレブンとのコラボ商品であるアルコール度数9%の「クリアクーラーSTRONGレモン&ライムサワー」だけなのだ。しかも、販売経路はセブンイレブン一社に限られているため、ほとんど飲まれていないのが実態であり、かねて同社はサントリー、コカ・コーラ、キリンなど他社に後塵を拝していたわけである。

(画像:セブンプレミアム公式HPより)

そのため、今回のアサヒの表明は2020年にオリオンビールが「ストロング系の製造をやめた」ような気概はなく、むしろ「撤退」と見るのが正しいだろう。

昨年4月には「売上1.5倍」目指すと宣言していた

実際、2023年4月11日に配信された「日経クロストレンド」の「アサヒビール、RTD4商品を一挙投入 2025年までに売上1.5倍へ」という記事では、「残念ながら当社は現在、RTD事業において確固たる地位を築けていない。また、市場を席巻するような強い価値を持つブランドも持ち合わせていない」と、同社の松山一雄氏はコメントしている。

ただ、記事のタイトル通り、同社は昨年からアルコール度数7%の「アサヒ GINON」、3〜7%の「アサヒ グレフルマニア」と「アサヒ 横丁ダルマサワー」を展開している(「7%と8%未満の違いは……?」という疑問は残る)。

むしろ、同社は2021年頃からストロング系よりも、アルコール度数4%で、ぶどうやりんごの果汁が10%以上も含まれている「贅沢搾り」シリーズを「主力ブランド」に位置づけているため、今後はこうした8%未満のRTDに力を入れていくことは間違いない。

とはいえ、今回のアサヒの終売の報道を受けた世間の反応を見る限り、改めてストロング系が「危ない飲み物」として認識されていることがわかった。それにもかかわらず、いまだに人気を誇り、気軽に購入できてしまうのはなぜだろうか?

【2024年1月29日17時30分追記】一部、表現を修正しました。

そこで本稿では、いちユーザーとしてストロング系を嗜み、専門家たちに取材を重ねてきた筆者が、どのようにしてストロング系が広まっていったのかを振り返っていきたい。

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事