日本の支援終了、「軍政下」ミャンマー鉄道の現状 線路改良や新車両、運転本数激減で「塩漬け」

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ミャンマー キハ11
ミャンマーのヤンゴン環状線。踏切を通過してやってきた元JR東海のキハ11形気動車(筆者撮影)
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カンカンカンカンと聞き慣れた踏切の音。それもそのはず、これは日本の踏切そのものだ。信号機器メーカー、日本信号のプレートからもそれはわかる。そこにやってきたのはオレンジと緑の帯という見慣れた色の気動車だ。

しかし、ここは日本のローカル線ではない。踏切が開き、物売りの荷車や人々、果物を載せた小型トラックが渡っていくのを見ると、急に現実に引き戻される。これはミャンマーの経済の中心地、ヤンゴンの市外を3時間ほどかけてぐるっと回る、ヤンゴン環状線の沿線風景だ。

だが、この一見平和な光景がはたしていつまで続くかと考えると、一抹の不安を覚えるのも事実である。

民政移管後の「フロンティア」が一転

2011年の民政移管後、ミャンマーは「最後のフロンティア」としてもてはやされ、アジアを中心として、世界各国からの投融資が急拡大した。日本政府は、それ以前の軍政期においても基礎的生活分野に限定して経済支援を行い、ミャンマー政府とのパイプを築いてきたが、民政移管を受け2012年に支援分野を大きく拡大する方向に舵を切った。さらに2016年にアウンサンスーチー氏率いる国民民主連盟(NLD)政権が発足、日本側は官民合わせて8000億円程度のインフラ支援を行うと表明した。

鉄道にも世界各国からの注目が集まった。中国、韓国、インド、それにドイツ、フランスといった顔ぶれが鉄道支援に名乗りを上げた。日本も遅れまいと、鉄道インフラ整備に対し、有償借款だけでも2500億円ほどが割り当てられることになっていた。鉄道分野における日本のプレゼンス拡大はもちろんのこと、国境を接し「一帯一路」政策を進める中国へ対する外交政策が念頭に置かれていたことは言うまでもない。

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