「67歳同士での再婚」反対押し切った2人のその後 「派手な妻」「経営者の夫」は遺産相続で揉めたが…

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徹さんは成人して結婚もしている子どもたちとの関係ではなく、文子さんとの新生活のほうを大事にしているのだ。いざというときに頼れるのはパートナーしかいないため、どちらかが病気になったときのことも考慮して、婚姻届も提出。それぞれ財産があるので未入籍で構わないという前提は崩した。徹さんの長男長女は、文子さんとの接し方を間違えていずれ相続できる財産を減らしたとも言える。自業自得である。

子どもたちとの心理的距離の遠さを語る徹さんの表情は当然ながら晴れない。そして、神社仏閣を含めた宗教団体への怒りの言葉を繰り返す。前妻の入信がきっかけとなり、自分なりに愛してきた家族が壊れてしまったことが悲しくて仕方ないのだろう。

ただし、2人の新婚生活は順調だ。文子さんは徹さんの乱雑な言葉遣いと車の運転には眉をひそめながらも、「嫌なことも1日で忘れちゃう」性格を大いに発揮。毎日欠かさずに出勤する働き者の徹さんを料理などで労っている。

2人は信頼関係だけで結ばれている

「朝は2人とも6時起きです。私がお弁当を作っている間に、徹さんが部屋の掃除をしてくれます」

徹さんは文子さんに月20万円を渡していたが、それで駐車場代や外食費も賄っていたら、文子さんのほうが持ち出しになることが発覚。話し合って月35万円に値上げした。それでも徹さんは古い高級車や金魚飼育などの趣味を続けているし、文子さんのほうもわが家で伸び伸びと暮らしている。財産は自分たちのために使えばいいのだ。

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結婚とは赤の他人と家族になることだ。再婚で前のパートナーとの間に子どもがいる場合は、その関係性が微妙になりかねない。感情も揺れるだろうし、相続の問題も起きやすい。

そのときに忘れてはいけないのは、結婚相手とは血のつながりなどではなく信頼関係だけで結ばれていることだ。成人した子どもや老いた親の意向よりも結婚相手の気持ちを優先することが最低限のルールともいえる。安心した顔でよくしゃべって笑っている文子さんと徹さんが寄り添う姿を見て、そのような感想を覚えた。

本連載に登場してくださる、ご夫婦のうちどちらかが35歳以上で結婚した「晩婚さん」を募集しております(ご結婚5年目ぐらいまで)。事実婚や同性婚の方も歓迎いたします。お申込みはこちらのフォームよりお願いします。
大宮 冬洋 ライター

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おおみや とうよう / Toyo Omiya

1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに入社するがわずか1年で退社。編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリーライター。著書に『30代未婚男』(共著、NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ともに、ぱる出版)、『人は死ぬまで結婚できる 晩婚時代の幸せのつかみ方』 (講談社+α新書)など。

読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京や愛知で毎月開催。http://omiyatoyo.com/

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