松本人志なき「探偵!ナイトスクープ」新局長は誰 インテリ枠、俳優枠、芸人枠の視点から

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(3)「笑いを生み出す芸人枠」

ここがいちばん難しい。松本人志の後ということで、尻込みする人も多いかもしれない。なので複数提案させていただきたい。

まずは漫才ではなく、上方の落語家を選ぶという発想はどうか。思い付くのは桂米團治。人間国宝の3代目桂米朝の息子でもあり、格としては十分だ。ただ、すでに65歳ということなので、若返りという意図を加えると、関西で人気の落語家・桂吉弥もあり得よう。年齢は52歳。

それでも漫才系でとなるのなら、朝日放送らしく「M-1グランプリ枠」として捉えた上で、第2代王者・ますだおかだの増田英彦(53歳)はどうか。先述の「インテリ枠」に通じる冷静さや、独特の清潔感は、番組本来のカラーに合っていると思う。

以上3カテゴリ以外の「その他枠」として、時代の流れを受けて「女性局長」にするのはどうだろう。上沼恵美子だと別の番組になってしまいそうなので(笑)、「最高顧問」に落ち着いていただいて、藤山直美、キムラ緑子、アンミカあたりを局長に据えるとか。あと、超飛び道具としては、番組ファンを公言し、顧問として2回出演しているビートたけしとか――妄想は広がる。

「笑い」「知性」「人間愛」は関西文化の本質

「笑い」「知性」「人間愛」を行きがかり上、ナイトスクープ独自の魅力として語ったが、本来この3つは関西発の番組、ひいては関西文化の本質といっても良かろう。

それがいつのまにか、大阪/関西といえば、「笑い」ばかりがクローズアップされ、「知性」「人間愛」の代わりに、下品さ、粗暴さ、関西弁でいう「えげつなさ」が付随するようになってしまった。

そんな中、「笑い」「知性」「人間愛」を36年間振りまき続けたナイトスクープは、大阪出身者(私)として数少ない誇りだ。新局長就任を契機に、この3つの魅力トライアングルを固め直してほしい。そして――迷ったら変化度が大きい選択をしてほしい。それが本来のナイトスクープらしさだと思う。

スージー鈴木 評論家

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すーじー すずき / Suzie Suzuki

音楽評論家・野球評論家。歌謡曲からテレビドラマ、映画や野球など数多くのコンテンツをカバーする。著書に『イントロの法則80’s』(文藝春秋)、『サザンオールスターズ1978-1985』(新潮新書)、『1984年の歌謡曲』(イースト・プレス)、『1979年の歌謡曲』『【F】を3本の弦で弾くギター超カンタン奏法』(ともに彩流社)。連載は『週刊ベースボール』「水道橋博士のメルマ旬報」「Re:minder」、東京スポーツなど。

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