「人間愛」の例証については、比較的新しいネタとして、関西地区1月12日放送分の依頼『憧れの「ギャル」になりたい』をご紹介したい。
学生時代にいじめや不登校を経験、専門学校も2日で辞めて、心の病と闘いながら生きている19歳の女性から、自分を持ってポジティブに見える「ギャル」になりたいという依頼が来て、探偵のゆりやんレトリィバァとともに「ギャル」の1日を満喫するというだけの調査だったのだが、これが泣けた。
根本にあるのは、いじめ・不登校で社会からの疎外感を感じている依頼者へのあたたかく優しい目線、つまりは「人間愛」だったと思う。
「依頼を受けて調査する」という同種の番組は珍しくないが、「人間愛」が根幹に置かれている(それも、決してお涙ちょうだいだけにならず「笑い」や「知性」と両立しながら)ところが、番組としての本質的な差別化になっていると思うのだ。
新局長候補を3カテゴリで考える
前置きが長くなったが、以上の前提の上で、新局長を考えたい。このテレビ史に残る名番組を背負う重要な役割を背負えるのは誰か。先に挙げた番組の魅力の維持拡大を願う視点から考えてみる。
先の「笑い」「知性」「人間愛」――これは局長の変遷と見事に重なる。
インテリジェンスにあふれ、ネタと探偵を批評する上岡龍太郎は「知性」寄り。人間味にあふれ、ネタと探偵に笑い泣く西田敏行は「人間愛」寄り。お笑いセンスにあふれ、ネタと探偵からの笑いを広げる松本人志は当然「笑い」寄り。この視点から、
(1)上岡龍太郎後継「知性が光るインテリ枠」
(2)西田敏行後継「人間味にあふれた俳優枠」
(3)松本人志後継「笑いを生み出す芸人枠」
という3カテゴリで考えてみる。それぞれの方向性の詳細を以下の表にて示しておく。
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