元CAが指摘、ペットと同伴搭乗「非常時の問題点」 アメリカ消防局にはペット救助のノウハウも
筆者は愛犬・愛猫と暮らしていますが、彼らとの移動の手段として飛行機を選択するのは、最終手段と考えています。その理由は、前述した「脱出の際にはペットは機内に置いて行かなくてはならない」ということ、またそれ以前に、彼らにとってほかの移動手段のほうが快適だと感じているからです。
例えば、新幹線は「手回り品」の切符を駅の窓口で購入すれば、犬や猫と同伴乗車できます。特大荷物スペースつき座席を予約すれば、大きめのペットケージを置くこともできます。
鳴いたり、粗相をしたりした場合は、デッキに出て対応するか、次の駅で下車することも可能です。素早い対応ができるので、周囲の人に迷惑をかけることやペットの不快感などを軽減できます。
タクシーに同伴乗車するときは、まず運転手さんにペットを乗せてよいか聞く必要がありますが、ほかに乗客はいないので、飼い主もペットも落ち着いて乗車できます。ペット同伴専用のタクシーであればより安心です。
筆者の場合は、移動のほとんどが自家用車です。周囲の人への配慮も、車から降りたときだけで済みます。何より愛犬・愛猫も乗り慣れていますし、ストレスも最小限で移動できます。
目的地にもよりますが、飛行機、船、電車、バス、タクシー、車などペットを同伴できる移動手段はたくさんあります。しかし、それぞれにおいて非常時のリスクや周囲の人への配慮の範囲も大きく違ってきます。
それらを十分に理解したうえで、ペットの種類、健康状態、年齢、性格などを考慮し、できる限りリスクが低く、快適な移動手段を選択することが大切なのではないでしょうか。
「モノ」ではなく「命あるもの」
動物愛護管理法第2条の基本原則にあるように、犬や猫などのペットは単なる「物」ではなく「命あるもの」です。
飛行機に限らず、ペットの同伴や搭載、乗車を許可するのであれば「あくまで人命が最優先」で、その後に「ペットの救助」という考えを持ち、救急救命についてのプロトコルを作成するなど、備えることが必要です。
筆者が、一般社団法人日本国際動物救命救急協会のペットセーバー(ペットの救急隊員)プログラムに参加した際、アメリカの消防局にはペット救助のノウハウがあり、ペット用の酸素マスクなどの救急セットも常備、動物救助専門チームも設置されていると聞きました。
フランス、カナダ、ドイツも同様で、実際に火災発生現場などにおいて、犬や猫などのペットが救助されています。
日本でその体制を確立するには、法改正や関係団体のシステム改善、連携などが必要ですが、動物愛護の精神からも議論の余地があるのではないかと筆者は考えます。今回の事故によるペット同伴搭乗の議論の根本は、そこにあるのではないでしょうか。
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