元CAが指摘、ペットと同伴搭乗「非常時の問題点」 アメリカ消防局にはペット救助のノウハウも
欧米では多くの航空会社で同伴搭乗サービスを行っていますが、その運航規約にもペットは「手荷物」として扱われる旨が記載されています。「緊急脱出の際には手荷物は機内に残して脱出しなければならない」というルールが、ペットにも当てはまります。
ではなぜ、それらを持ち出してはいけないのでしょうか。
国土交通省のウェブサイトには、航空局からの非常脱出時における適切な対応のお願いとして「何も持ち出さないで!ハイヒールは脱いで!」と記載。理由として、「非常脱出時に手荷物を持ち出すことやハイヒールを履いたままの脱出は、ご自身の脱出の遅れや他の旅客の脱出の妨げになるほか、ご自身や他の旅客が負傷したり、脱出スライドが損傷し、使用出来なくなるおそれがあります」としています。
2019年5月にモスクワの空港に緊急着陸した旅客機の炎上事故では、脱出スライドによる非常脱出の際に、多くの旅客が死傷しました。非常脱出時に一部乗客が手荷物を持ち出したことで、他の乗客の脱出が遅れた可能性もあると報道されています。
元キャビンアテンダントの指摘
JALの元キャビンアテンダントのAさんは、ペット同伴搭乗をさせた場合の非常時に想定されることについて、下記のように指摘します。
■ペットを機内に同伴できても、非常時に連れて脱出することはできない
■「置き去りにできない」と連れだそうとする乗客が出てきた場合、自身の避難の遅れや他の乗客の脱出の妨げになる
■「ペットを連れていけないなら、私も避難しない」という乗客が出てきた場合、乗務員も全員機内に残ることになる
■脱出時は急降下するスライダーを滑り降りる必要があり、何か持っていては乗客の安全を確保できない
■ペットケージを持って降りた場合、その角などでスライダーが破損すれば、他の乗客が脱出できなくなる
■ペットを抱いて降りた場合、ペットの爪でスライダーが破損すれば、他の乗客が脱出できなくなる
■脱出のためにペットをペットケージから出した場合、ペットが興奮して暴れる、乗客を噛む、逃走するなどの2次的な事故が起これば、乗客の脱出の妨げになる
もちろん、ペットは飼い主にとって大切な“家族の一員”で、非常時に連れて脱出できないのは耐えがたいつらさです。しかし、「あくまで人命が最優先」であり、同伴搭乗でもそれが変わることはありません。
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