元CAが指摘、ペットと同伴搭乗「非常時の問題点」 アメリカ消防局にはペット救助のノウハウも
ルールを無視した行動を飼い主がした場合、2次的な事故で多数の犠牲者が出る可能性もあります。
今回の事故で2匹の命を助けられなかったのは本当に無念ですが、人命救助を最優先して、迅速的確にJALの乗務員が行動したからこそ、全員脱出を実現できたのでしょう。
同乗搭乗はペットにとって快適か
そもそも、ペットとの同伴搭乗は動物にとって快適なのでしょうか。
ソラシドエアの機内環境の説明を要約すると、「飛行中の客室内の気圧は地上より低く、離陸・着陸時には気圧の変化が起こる。機内温度はエアコンで調整されているが、湿度は20%まで低下することも。離陸・着陸時や気流の悪いところでは機体が大きく揺れる」とされています。
犬や猫は、温度、湿度、気圧の変化、また音、揺れ、においなどの影響を受けやすいため、多くの航空会社がそのリスクが高いとされるパグやブルドッグなどの短頭種の搭載を許可していません。しかし短頭種に限らず、体が小さい犬や猫は人間以上に影響を受けやすいので、決して良い環境とはいえないのです。
同伴搭乗が可能な航空会社の多くは、座席をエコノミークラスと指定していて、ペットケージに入った犬や猫を座席の下に置くことになります。
飛行機などを利用して世界各国の飼い主のもとへ犬や猫を届ける仕事をしているSさんは、同伴搭乗で下記のような出来事があったと話します。
■アレルギーを持つ乗客が隣席になり、「他の席に移動してほしい」と言われた。
■においに敏感な乗客が隣席になり、「くさい」と言われた。
■天候不良で機体が大きく揺れた際、猫が飛行機酔いして何度も吐いてしまった。吐いたものを処理したが、猫の体などに付いたものは取り切れず、周辺の乗客から「くさい」と言われた。
■犬が鳴き続けてしまい、「うるさい!」と周辺の乗客から怒鳴られた。
■シートベルト着用サインが出ているときに、猫が下痢をしてしまった。猫のお尻や尻尾に付いた便は拭いただけでは取りきれず、周囲の乗客から「くさいので別の席に移動してほしい」と言われた。
■飛行中に猫がペットケージを引っかき続け、「うるさい!」と隣席の乗客に怒鳴られた。猫も爪が剥がれて、出血してしまった。
Sさんは言います。「同伴搭乗は、常に犬や猫を見ていられるのでその点の安心感は高まりますが、犬や猫にとって快適だとは思いません。また、ほかの乗客への気遣いがかなり重要になりますね」。
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