多くの人は人生を善と悪の2つに分けて割り切ろうとします。「私の子ども時代は完璧だった」とか「私の父はろくでなしだ」という具合です。
もし何かが完璧なら、怒りを感じたり傷ついたりする必要はありません。私たちはそうやって自分のトラウマを否認するのですが、そうすることで他者との未解決の問題を繰り返してしまいます。
もし誰かが全面的に悪いなら、その人を失ったり怒りを感じたりすることはそんなに苦痛ではありません。なぜなら、その人を失っても惜しむようなことはないからです。
しかし、そのように考えているうちに被害者意識が芽生えてきます。「私はなんてみじめなのだろう。ひどい目にあってばかりで、すごく運が悪い」といった具合です。
たとえば私自身も子どもの頃、父に激しい怒りを抱いていました。「父はろくでなしで、いいところがない。私は悪い父親の被害者だ。厄介払いができてすっきりした」と思ったのです。
しかし、こういう冷淡な態度はあまりにもつらく、私はやっと目を覚まして自分の感情に対処し、ものの見方を変えることにしました。自分の心と頭の中で父のいい部分と悪い部分を総合し、ようやく父の短所を許して、自分の人生を台無しにしている破壊的な行動パターンを断ち切ることができたのです。
自滅的な行動パターンには原因がある
きっと、あなたは「もしそれがそんなに苦痛なら、なぜ掘り起こすの? そして、もしそれを抑圧することを選んだのなら、なぜわざわざ明るみに出す必要があるの?」と思っていることでしょう。
たいへんよい質問です。1つずつ答えましょう。
過去を振り返って、何が原因で自滅的な行動をとるのかを分析しなければ、自滅的な行動をコントロールすることはできません。言い換えると、自滅的な行動パターンの原因がわからなければ、自分の人生がどの方向に進むかをコントロールできないのです。
その結果、時計の針が逆に回るように、あなたはいっこうに前進できず、絶えず後退するような生き方をすることになります。
自分の過去を振り返るというのは、過去に生きることではなく、過去から学ぶことです。それをしないかぎり、心に重荷を背負い続けることになります。
勇気を出して自分の心の奥を直視してください。どんなに問題を抑圧しようとしても、あなたはそれが何かをよく知っているはずです。じっくり検証すれば、自分のトラウマを探り出すことができます。
今までずっと目をそむけて生きてきたかもしれませんが、自分の人生を取り戻したいなら、これまでの自滅的な行動パターンを断ち切らなければなりません。
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