日本人の会話から「ことわざが消えている」深い訳 「いったい何のこと?」薄まる比喩の共通認識

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たとえば現在も多くの職場で、シニアの上司は若い部下に向かって、こんな言葉を発したりしてはいませんか。

「それでは角が立つ」

「いつ目鼻がつくのか」

「二枚舌を使う人には気を付けて」

「薄氷を踏む思いだった」

「呑んで掛かると失敗するぞ」

――などなど。

このままでは会話のズレは広がる一方

ひょっとして若い部下には、その意味するところが伝わっていない可能性が大です。

しかも今の若者たちのほとんどは、あえて会話の流れを止めてまで「それはどういう意味ですか」と聞こうとはしないでしょう。

「自分の言葉が通じていない」とはつゆとも思っていない上司と、あいまいにうなずいて知ったかぶりでやり過ごしているかもしれない若者……。 

このままでは、年配者と若者との会話のズレは広がる一方です。

仕事をより前向きな軌道に乗せ、ひいては日本社会を活性化させるには、両者の正常なコミュニケーションがあってこそです。

【上司の言葉の意味】
「角が立つ」

事が荒立ってしまい、他人と円滑にいかなくなる意
「目鼻がつく」
物事がだいたいのところまでは出来上がっている。最終的な仕上げまであと一歩。全体の見通しが立つ
「二枚舌を使う」
さっきと今で、違うことを言う。前後で矛盾していることを言う。嘘を言う
「薄氷を踏む」
とても危険な状況に臨むこと
「呑んで掛かる」
実力は自分より劣っているはずと相手を下に見て対応する。相手を軽く見くびって勝負に向かう
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