「奨学金437万円」男性が40代でようやく得た天職 貧困家庭出身の彼が今、アフリカで働く理由

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今ではケニア、ルワンダ、セネガル、コートジボワールなど、さまざまな国で子どもたちに数学や理科を教える機会を、仕事として提供している。

奨学金がなかったら、肉体的か精神的に潰れていた

やはり、幼少期に自らも貧しい生活を送ったことから、同じ境遇の子どもたちを「助けたい」という気持ちがあったのだろうか?

「それはあると思います。初めて青年海外協力隊で訪れた国は、電気も水もないような場所にもかかわらず、勉強をしたい子どもたちはたくさんいました。あるとき、日本からチョコレートが送られてきたんですよ。

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彼らはチョコレートを食べたことがないので『家で勉強すると約束してくれるならあげるよ』と言って渡したところ、ちょっとだけ食べて銀紙に残すんです。『なんでや?』と聞いたら、『家に持って帰って弟や妹にも分けてあげるんだ』と言うんです……。

それを聞いた瞬間、彼らが僕と全然違うタイプの人たちで、この子たちとずっと仕事ができたら、違う人生の扉が開くのではないかと思いました。

そのような、貧しいけど、やる気のある子どもたちの力になれる仕事で一生飯が食えたら、それは楽しい人生になるだろうなと感じたんです」

現在、発展途上国で子どもたちのために、汗水垂らして働く長内さん。この仕事は奨学金を借りて大学院まで進んでいなければ、できなかったことだろう。ただ、奨学金制度そのものには、一家言ある。

「きょうだいや僕の妻たちは、奨学金のことを『借金』と言ってきますが、僕にとっては『投資』です。これがなければ、僕はみんなと同じレベルまで到達することができませんでした。でも、今の奨学金制度そのものは『部分肯定派』です。奨学金がなかったら、青年期に僕は肉体的か精神的に潰れていたと思います。だからといって、借りるからには返済のメドが立ってなくてはなりません。自分にとって、進学が本当に必要か考えるべきだと思います」

飄々とした口調ながら、自ら苦しみもがきながら、生きる道を模索し、現在は他者の教育のために一生を捧げると決めた、彼の意見はグッと胸に突き刺さる。

本連載「奨学金借りたら人生こうなった」では、奨学金を返済している/返済した方からの体験談をお待ちしております。お申し込みはこちらのフォームよりお願いします。奨学金を借りている/給付を受けている最中の現役の学生の方からの応募や、大学で奨学金に関する業務に関わっていた方からの取材依頼も歓迎します。
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千駄木 雄大 編集者/ライター

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せんだぎ・ゆうだい / Yudai Sendagi

編集者/ライター。1993年、福岡県生まれ。奨学金、ジャズのほか、アルコール依存症に苦しんだ経験をもとにストロング系飲料についても執筆活動中。奨学金では識者として、「Abema Prime」に出演。編集者としては「驚異の陳列室『書肆ゲンシシャ』の奇妙なコレクション」(webムー)なども手掛ける。著書に『奨学金、借りたら人生こうなった』(扶桑社新書)。原作に『奨学金借りたら人生こうなる!?~なぜか奨学生が集まるミナミ荘~』がある。毎月、南阿佐ヶ谷トーキングボックスにて「ライターとして食っていくための会議」を開催中。

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