早大野球部OB会"子どもに外遊びの場提供"の背景 運営への協力は「人生の豊かさにつながる」

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ならびっこゲームは、まず攻撃チームのバッターがボールを打ち、一塁まで走ったらUターンして本塁に戻る。その間に守備チームはみんなで打球を追いかけ、チーム全員が落ちたボールの元にそろったら「アウト」と叫ぶ。バッターが本塁に戻るほうが「アウト」のかけ声より早ければ、攻撃チームの得点となる。

初めてバットを握る子どもも多く、部員たちがバットの構え方を優しく教えていたのが印象的だった。思うようにボールが飛ばなくても、「上手、上手!」「さっきより飛ぶようになったね!」と部員たちが励ましてくれるので、打順が回ってくるのを待ち遠しそうにしている子も多かった。参加した小学1年生の女の子は「バットを思い切り振って、ボールを遠くに飛ばすのがおもしろかった」と話した。

ほかにも同部OB会と、“スポーツ鬼ごっこ”の普及啓発活動をしている「鬼ごっこ協会」が野球をイメージして考案した「ダイヤ鬼」で楽しむ姿も見られた。

「ダイヤ鬼」は、本塁からスタートし、各塁間にいる鬼にタッチされないようにダイヤモンドを一周する鬼ごっこだ。タッチされたら、本塁に戻って再スタートとなる。子どもたちは鬼になった部員たちをかいくぐりながら、本塁を目指して楽しそうに走っていた。

日が暮れるころには、子どもたちと部員はすっかり仲良くなっていた。遊んでくれた部員たちに肩車をしてもらう子どももいて、ほほ笑ましい。また、キャッチボールをしたり、一緒に芝生に寝転がって空を眺めたりする親子もいた。

部員に肩車をしてもらう子どもたち
部員たちとすっかり仲良くなった子どもたち(写真:筆者撮影)

参加した子どもたちに話を聞くと、「鬼ごっこが楽しかった。次回も参加したいです」(小学2年生男子)、「お兄さんがすごく優しくて、仲良くなれた!」(小学1年生女子)という声が聞かれた。

同部の森田朝陽主将は、「普段、子どもと遊ぶ機会はないので楽しかった。こういったイベントは、子どもたちがスポーツに触れる良い機会になると思う」と話した。

放課後はゲームや習い事・学童が増加

文部科学省の「全国学力・学習状況調査(2021年8月発表分)」によると、平日に1時間以上テレビゲーム(パソコン、携帯ゲーム、スマホゲーム含む)をする小学生は75.9%にものぼる。これは15年前の2009年度実施分(47.5%)のおよそ1.5倍の数値だ。

放課後の時間が、ゲームに代わっただけではない。ベネッセ教育総合研究所の「学校外教育活動に関する調査(2017年)」 によると、定期的に塾・教室(そろばんや習字など含む)に通う子どもは、小学1年生でも4割を超え、小学4年生で5割を超える。

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