名経営者がこぞって読む「菜根譚」の秘密 松下幸之助、田中角栄、川上哲治も読んだ

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何ごとにも「原理原則」というものがあります。人間関係においても然りです。中国古典は多かれ少なかれ、みなこの問題を取り上げてきました。この際、なぜうまくいかないのか人間関係の基本に立ち返ってみてはどうでしょうか。

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そのためのヒントを『菜根譚』に求めてみます。

『菜根譚』は明王朝の万暦年間にまとめられたと言われますから、今から400年ほど前にできた本です。ここで言う「菜根」とは粗末な食事のことを指していて、貧しい生活に耐えて成長した者だけが、将来、大きな仕事を成し遂げることができるのだという意味を含ませていると言われます。

この本を書いたのは、洪応明、字は自誠という人物です。官吏としてはきわめて平凡な人生を送った人物です。いわば、『菜根譚』という本を書くことによって、後世に名を残した、そんな人物と言ってよいでしょう。

そのような人物の書いた本が、なぜ時代を超えて読み継がれてきたのか。実は『菜根譚』には、ほかの古典にはない大きな魅力があるのです。

それは、儒教と道教と仏教、この3つの教えの上に立って、人生の知恵、処世の道を説いていることです。こういう本はほかにありません。

3つの宗教が交わる稀有の本

まず儒教ですが、これは身を修め、天下国家を治めることを説いた「表」の道徳です。「建て前の道徳」と言ってもよいでしょう。

しかし「こうすべきだ、ああすべきだ」という「表」の道徳だけでは、世の中は息苦しくなります。そこで必要になるのが、それを補う「裏」の道徳「道教」でした。道教はみずからの人生にのんびり自足する生き方を説いています。

しかし、儒教にしても道教にしても、厳しい現実をどう生きるかを説いたもので、人々の悩める心の救済にはあまり関心を示しません。それを補ったのが、のちにインドから入ってきた「仏教」です。

『菜根譚』は、この3つの教えを融合して、人生の知恵や処世の極意を説いているのです。そこに、この本の最大の魅力があると言ってよいでしょう。

たとえば、功名富貴の追求を説きながら、一方では悠々自適の生き方にも共感しています。厳しい現実を生きる処世の知恵を説きながら、悩める心の救済にも救いの手をさしのべています。『菜根譚』が説いているのは、あくまでも実践的な知恵なのです。

では、具体的にどのようなところに3つの宗教が交わる実践的な知恵が見て取れるでしょうか。これからいくつか、その言葉を解説していきましょう。

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