オリンパスとキヤノン、「昔はカメラ競合」の協業 医療強化の流れで光学機器大手が合従連衡
膵臓がんは5年生存率が低い病気として知られ、早期発見が重要だ。「超音波内視鏡と超音波診断装置の複合技術は、膵臓疾患に悩む患者への最高のケアを可能にする」(ドレバロウスキー氏)。
会見に登壇したオリンパス内視鏡事業担当役員の河野裕宣氏は、キヤノンメディカルとの協業に至った経緯について、次のように述べた。
「5年、10年先のことを考えたときに、どのパートナーと協業するのがよいか検討した。結果、超音波で技術があり、歴史も長いキヤノンメディカルが協業相手としてはいちばんだと思い、話をさせていただいた」
オリンパスは1980年代から超音波内視鏡を製造・販売してきた。今回の協業につながる検討を始めたのは2020年とのことだという。
オリンパスを猛追する富士フイルム
これまでオリンパスは、富士フイルムから超音波内視鏡向けの超音波診断装置の供給を受けていた。だが富士フイルムは内視鏡市場における競合だ。市場は「ペンタックス」ブランドの内視鏡を製造販売するHOYAを含めた3社による寡占状態にある。
消化器内視鏡で約7割の市場シェアを握るオリンパスを猛追するのが富士フイルム。その富士フイルムからオリンパスが装置の供給を受けることになった経緯はやや複雑だ。
オリンパスはもともと、医療機器メーカーのアロカ(当時)から超音波内視鏡向けの超音波診断装置を調達していた。しかし、2011年に日立製作所の子会社で医療機器を手がけていた日立メディコ(同)がアロカを買収。その後、2021年に富士フイルムが日立の画像診断関連事業を買収した。
結果、オリンパスは競合から装置の供給を受ける状況になった。
この状況に課題を感じていたのか。会見で問われたオリンパスが「検討事項には含まれていた」と述べたように、新たな協業相手を探すこととなった背景の1つとなった。
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