オリンパスとキヤノン、「昔はカメラ競合」の協業 医療強化の流れで光学機器大手が合従連衡

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オリンパスとキヤノンメディカルによる協業製品の販売は、ヨーロッパで今年の1~3月から、日本では6月から開始する予定だ。医療機器の最大市場であるアメリカでも、認可の都合上時期は未定だが販売する計画だ。

法規制や販売にかかる認可の状況は地域によって異なる。そのため、富士フイルムからオリンパスへの装置の供給は必要に応じて継続される。

会見ではキヤノンメディカルがオリンパスとの協業のために開発した超音波診断装置の実機が披露された。キヤノンメディカルの持つ超音波診断装置の中でも最高級のものをベースにしており、高画質が自慢だ。今後も2社共同で、機能の強化やアプリケーションの開発を行っていく。

オリンパスの超音波内視鏡とキヤノンの超音波診断装置
超音波内視鏡(左)と超音波診断装置。2台を並べて使用する(撮影:風間仁一郎)

オリンパスの内視鏡の売上高は、2022年度実績で5518億円、2023年度は6040億円を見込む。超音波内視鏡の売上高については公にしていない。協業の事業規模についてキヤノンメディカルの瀧口登志夫社長は、「最終的には1億ドル(約145億円)規模を実現したい」と話した。

内視鏡分野に初参入となるキヤノンにとって、協業から得られる収益はそのまま上乗せ分となる。キヤノンの医療機器事業は「2025年に売上高6000億円以上」を目標とし、1桁台後半の売上高成長率を続けてきた。2023年の売上高見通しは5618億円。目標達成に向け協業は弾みとなりそうだ。

各社が医療領域を成長の柱に

光学機器は世界の中でも日本メーカーが強い存在感を示す分野だ。その技術を生かし、カメラや複合機の大手はいずれも医療分野に力を入れている。

オリンパスはカメラと顕微鏡の事業を2023年4月までに売却。世界で戦える「医療の会社」になるべく内視鏡と治療機器に経営資源を集中させた。

キヤノンは2016年に6655億円を投じて東芝メディカルシステムズを買収。それが現在のキヤノンメディカルだ。医療機器はキヤノンの全社売上高のうち1割以上を占める規模になっている。

富士フイルムも先述したように日立の画像診断関連事業を買収、医療機器を成長の柱に据える。2023年度の医療機器売上高は6500億円を見込む。

オリンパスとキヤノンの協業は今回が初めてのこと。かつてはカメラで競合していた関係だが、手を取り合う形となった。各社が医療分野を強化する中で、今後も業界再編や協業が発生しそうだ。

吉野 月華 東洋経済 記者

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よしの・つきか / Tsukika Yoshino

精密業界を担当。大学では地理学を専攻し、微地形について研究。大学院ではミャンマーに留学し、土地収用について研究。広島出身のさそり座。夕陽と星空が好き。

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