それはiPhoneを手放せなくなる仕掛けだった 「超積極的なアシスタント」へと脱皮

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iOS 9で強化されるポイントとして、地図アプリの進化も挙げられる。長らくグーグルに遅れを取っていた公共交通機関での経路検索も利用できるようになる。

ただし米国と中国の限られた都市からの対応となり、東京で利用できるようになるのはまだ先になりそうだ。

iOS 9のプレゼンテーションの中で、2度同じ内容のスライドが表示されたのが印象的だった。それは、iOS 9のSiriやニュースアプリが、ユーザーの行動を学習し、好みの情報や記事を提示してくれる機能を紹介する際のことである。

そのスライドとは、プライバシーへの配慮だ。

ユーザーの情報について、アップルの他のサービスや他社が利用できないようにする、匿名で検索をかけるなど、ユーザーの学習データを自分だけで利用するよう学習させる仕組みを徹底し、ユーザーの管理下にあることを強調したのだ。

「プライバシー重視」を強調

つまり、自分のiPhoneは自分の行動だけを分析し、より賢く振る舞おうとする、非常に個人的な学習の仕組みを備えることを意味する。他社が行うような大規模なユーザーの行動を活用した学習ではないため、学習速度は遅いかも知れない。しかしそのメリットはプライバシー保護という形で得られるのだ。

2週間前に開発者会議を行い、その圧倒的な機械学習の活用と効果を示したグーグルとの明確な違いがここに現れている。地図のように、アップルが今からこの分野で対抗しようとしても、その効果を得るのは難しいことは、明確だからだ。

より身近に、目に見える形で心地よさと便利さを両立させようとするアップルの作戦は、意外に多くの支持を得られるかもしれない。

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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