それはiPhoneを手放せなくなる仕掛けだった 「超積極的なアシスタント」へと脱皮
iOS 9では、バッテリー持続時間の向上やアプリの高速動作など基本機能の向上のほか、ヘルスケアの計測項目の増加、PassbookやApple Payを統合したウォレットアプリへの進化などの改善が図られる。
新たに追加された標準アプリもある。iPhoneで手軽にメモを取ることができる「ノート」と、好みの記事を読む事ができる「ニュース」は、アプリ開発者にとって、非常にインパクトがあるものだ。
アップルが標準として提供してきたノート機能は、単純にメモを取るだけのアプリで、iPhone/iPad/Macの間で同期を取れる、シンプルな機能を備えているに過ぎなかった。しかしiOS 9では、書式の変更、チェックリストの作成、Safariからのウェブリンクの貼り付けなど、機能を向上させている。さらに、手書きメモにも対応させた。
OSに標準搭載されるアプリは、サードパーティのアプリへの大きなプレッシャーになる。ノートでは、Evernoteなどのクラウドノートサービス・アプリにとって脅威といえるだろう。
標準のアプリが搭載されていると、多くの初心者ユーザーは、まず標準アプリを試すだろう。そうなると、サードパーティアプリは、ステップアップとして活用するアプリという位置づけになる。サードパーティは、標準アプリにはない明確な便利さ、高機能性を打ち出さなければ、厳しい状況に追い込まれる。
ニュースも標準アプリに
同様に、新たに追加される「News」は、FlipboardやFacebookのInstant Articlesのように美しい記事表示と、グノシーやスマートニュースのように、その人が興味を持ちそうなニュースを集めてくれる機能性を備えた標準アプリとなる。
前述のノートアプリと同様に、標準アプリ以外を使うメリットを明確に打ち出さなければならなくなる。競争環境は様変わりすることになるだろう。しかし、このことはサードパーティにとって、必ずしもデメリットばかりではない。標準アプリと自社アプリの差を明確にし、個性を強調させるきっかけにもなるからだ。
アップルは、ユーザーがどんなアプリに興味を示しているのか、好んでいるのかを注視し、OSに取り入れている。過去にも、メールをスワイプで振り分ける機能を、Dropboxに買収されたメールアプリMailboxに倣い、追加したことがある。
もちろん、アップルにはサードパティアプリを根絶やしにする意図はなく、エコシステムの発展にも注力している。しかし、そのバランスを取るのは簡単ではないだろう。
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