もう1つの診療報酬単価の焦点は、効率化・適正化をどう具体的に実現するかである。
東洋経済オンラインの拙稿「『診療所の儲けは8.8%』と示した財務省の人海戦術」で触れたとおり、財務省は今回の診療報酬改定において、診療所と病院の利益率のアンバランスを問題視している。
診療所は病院や他産業よりも高い利益率となっているが、それは診療所の自助努力のたまものではなく、公定価格である診療報酬単価に歪みがあることが主因と考えられる。このアンバランスをどう改めるかが、診療報酬単価を決めるうえで重要となってくる。
では、何をどう変えればそれが実現できるか。
「診療所を中心に」効率化・適正化と財務省は明記
事前の議論では、初診料や再診料を変えることで、このアンバランスを改めるという見方もあった。わが国では、受診回数に応じて診療報酬が医療機関に支払われる仕組みがあり、それがまさに初診料や再診料である。
ただ、外来は、診療所だけでなく病院も営んでおり、どこまできめ細かく設定できるかが微妙である。
前述の厚生労働省が12月20日に公表した診療報酬本体改定の中身をよく読むと、「生活習慣病を中心とした管理料、処方箋料等の再編等の効率化・適正化」とある。つまり、主に管理料と処方箋料を改定することを通じて、効率化・適正化を実現するということを意図している。厚生労働省の記者発表資料はその表現である。
しかし、財務省が2024年度予算政府案が12月22日に閣議決定された際に公表した資料によると、この「効率化・適正化」は、「診療所を中心に、生活習慣病等に関する管理料、処方箋料等の再編等による効率化・適正化を行う」と記されている。「診療所を中心に」と明記されているのである。
ということは、管理料と処方箋料を、診療所と病院とで区別することを通じて、効率化・適正化を実現するという意図が読み取れる。
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