「30年ぶり高水準」でも春闘賃上げはまだ足りない 連合は今春を上回る「5%以上」を要求する構え
Q1:2023年の春闘、どうして賃上げができたのか
Q2:どうしてこれまで賃上げができなかったのか
Q3:2024年の春闘はどうなるのか
Q4:実際の賃金は春闘の賃上げ率ほど上がっていないのでは?
Q5:実質賃金がプラスになるために必要な賃上げ率とは?
A:3つの要素がそろったから
賃上げは基本的に、労働需給、企業収益、物価の3つの要素で決まる。
賃上げをめぐる環境を確認するため、労働需給(有効求人倍率)、企業収益(売上高経常利益率)、物価(消費者物価上昇率)について、過去平均(1985年~)との乖離幅を見てみると(標準偏差で基準化)、バブル崩壊後の1990年代前半から2010年代前半までの約20年間は、いずれの指標もほとんどの年でマイナスとなっていた。
タイトな労働需給、企業収益の改善に物価高が決め手
アベノミクス景気が始まった2013年には企業収益の改善を主因としてプラス圏に浮上し、その後労働需給の改善が顕著となったことから、賃上げをめぐる環境は良好な状態が続いた。2019、2020年は景気後退や新型コロナウイルス感染症の影響で3指標ともに悪化したが、2021年には企業収益の改善を主因として持ち直した。
2022年以降は物価高が加わったことから、3指標を合わせたプラス幅はバブル期を大幅に上回り、過去最高水準となっている。つまり、賃上げを決める要素がすべて出そろったことが、「30年ぶりの賃上げ」につながったと考えることができる。
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