財務省にあって厚労省にない診療報酬改定の一言 診療所の利益に切り込む次なる焦点「処方箋」

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以下の説明は順不同だが、40歳未満の勤務医師・勤務歯科医師・薬局の勤務薬剤師、事務職員、歯科技工所等で従事する者の賃上げのために、プラス0.28%程度を措置することとした。加えて、看護職員、病院薬剤師その他の医療関係職種の賃上げのために、プラス0.61%を措置することとした。

これによって、2024年度にベースアップ(ベア)2.5%、2025年度にベア2.0%の実施が可能となると見込んでいる。これらを合計して、診療報酬本体では、賃上げ分だけで0.89%の診療報酬アップを盛り込んだものとなっている。

ほかに入院時の食費基準額の引き上げ(1食当たり30円)のためにプラス0.06%、それら以外の診療報酬本体の改定としてプラス0.18%を措置した。他方で、生活習慣病を中心とした管理料、処方箋料等の再編等の効率化・適正化によって、診療報酬本体を0.25%引き下げることとした。合計して、診療報酬本体の改定率は全体でプラス0.88%となったのだ。

今後は、この改定の中身を踏まえて、医療行為に対する点数の見直し論議に入る。その議論の焦点として、本稿では2つ挙げることとしよう。

賃上げ原資を「やらずぼったくり」にしない単価付け

まず、医療従事者の賃上げが真に実現できるように診療報酬単価を決められるか、である。

わが国の診療報酬体系は、医療従事者の職種ごとに公定価格を決めているわけではない。診療行為ごとに単価が決まっていて、それが医療機関に支払われるが、支払われた後の分配は医療機関任せである。医療機関に収入が入ってきても、それを賃上げに回さなければ、医療従事者の賃上げは実現できない。

2023年末の診療報酬改定論議で、さんざん「賃上げの実現」と言ってきたわけだから、医療界で賃上げが実現できなければ、それこそ「やらずぼったくり」になり下がる。賃上げの必要性を説いて診療報酬本体のプラス改定を実現したわけだから、前述のようにしっかりと医療従事者の賃上げにつなげてもらわなければならない。

とはいえ、医療機関の自主性に任せるだけでなく、診療報酬体系の中で、いかに実効的に賃上げを誘導できるように診療報酬単価をつけるかも、カギとなる。

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