大学に行けなくなった彼が社会に踏み出せた理由 不登校もひきこもりも状態を示す言葉に過ぎない
不登校やひきこもりを経験したあと「自分の力で生活しようと努力している人」をたくさん見てきた、というNPO法人キーデザイン代表理事の土橋優平さん。今回は、身近でがんばる不登校経験者の姿を書いていただきました。経験者の姿を通して土橋さんが感じたこと、また子どもが1歩踏み出すために大切だと実感したこととは。
大学で不登校を経験した彼が、一歩踏み出すまで
不登校やひきこもりを受けいれることは、とても難しいことです。それらに関するネガティブな情報が世のなかにあふれていることが、受けいれにくい要因の1つだと思います。しかし、私の身近には不登校やひきこもりを経験したその後、自分の力で生活している人、しようと努力している人が大勢います。今回は今をがんばっている、身近な「彼」のことを書こうと思います。
彼は勉強ができ、通知表の成績はつねによいほうでした。友だちはいるけれど、自己主張をするタイプではなく、大勢でワイワイ楽しむすごし方はあまり得意ではありません。
それでも、小学校から中学校までは問題なくすごし、高校からは進学校へと進んだ彼。あるときから家族に黙って学校を休むようになりました。毎朝「行ってきます」と家を出るのに、登校せずに近所をフラフラ。そんな状況でもなんとか高校の単位を取得し、卒業後は大学へと進学します。
しかし、大学1年生が終わるころ、実家の両親に大学から連絡が入ります。「息子さん、しばらく大学へ来ていませんが、大丈夫ですか」。
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