ノロウイルスに汚染された生ガキを食べることによって感染するのは有名な話だが、平井さんによると、その割合は「2割程度」。実はノロウイルスは、ウイルスに汚染された食べ物で発症する「食中毒」だけでなく、人から人にうつる「感染症」という二面性を持つ。
「最も多いと考えられている原因は、調理従事者からの感染です。ノロウイルスに感染した人が調理したことで、食品がウイルスに汚染され、それを食べることで感染するという経路です。もう1つは、感染者のふん便や嘔吐物を処理する際に触れたり、感染者がトイレを使った後に触ったドアノブや照明スイッチに触れたりして感染するケースです」(平井さん)
頻度は多くないが、感染者の嘔吐物が乾燥して空中を漂ったり、トイレで蓋をせずに流したその飛沫が飛び散ったりしたものを吸い込んで、感染するケースもあるそうだ。
100個程度でも人に感染
「ノロウイルスの感染予防は非常に難しい」と話す平井さん。それは感染力の強さもある。「ノロウイルスは100個程度あれば人に感染しますが、感染している人のふん便1gには100万個程度のノロウイルスがいるという報告があります」。
感染者=発症者ではないということも挙げられる。わかりやすく言うと、ノロウイルスに汚染された食品を食べた場合、①感染して発症する人、②感染しても発症しない人、③感染しない人がいる。
「調理の現場では、嘔吐や腹痛といった症状があったら必ず調理から外れ、症状がなくなってからもウイルスを排出している可能性があるので、1週間程度は調理しないのが原則。ところが、②の場合は気づかないで調理をし、感染を広げてしまうということがあるのです」(平井さん)
ただし、人(あるいは人が触ったもの)から人へうつるルートは、手洗いで予防することができる。では、どんな手洗いが有効なのか。
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