このそれぞれについて、当然ながら他にも事情があったとか、冷戦の影響がとかいった指摘はできる。またその数十年後とはいえ、ブレトンウッズ体制は崩れたし、それ以外の部分についても弊害やダメなところはいくらでも指摘がある。さらに頭の痛い問題として、このアーキテクチャが本当によかったのか、そのてっぺんに鎮座したアメリカが圧倒的に強かったからこのアーキテクチャでもゴリ押しが利いただけなのか、という疑問も十分に正当なものだ。
それでも、ケインズの世界観に基づくこの第二次大戦後の世界経済アーキテクチャが、なんだかんだで20世紀の世界経済の驚異的な発展につながったのは、すでにご存じのとおりだ。そして、それが崩れた後に台頭してきた自由市場寄りの仕組みが文句なしにいいかと言えば、多くの人が口ごもるところではある。
本書の時点で、そのアーキテクチャにつながる認識の基盤はできあがっていた。その意味で本書は第一次世界大戦の戦後処理にとどまらず、第二次世界大戦の戦後処理、さらにそれ以後の世界基盤につながる重要な書籍でもある。
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