戦勝国と敗戦国の相互依存
ケインズは経済学者だが、官僚でもある。そしてその官僚時代に、第一次世界大戦のパリ講和会議にイギリス代表団の一員として参加し、そこでの議論の方向性および最終的にまとまりそうなヴェルサイユ条約のあまりのひどさに絶望し、辞表をたたきつけて、即座に本書を書き上げた。そしてそれがベストセラーとなり、ケインズの世間的な知名度をいちやく押し上げた。
本書におけるケインズの基本的な立場は、とにかくヨーロッパの復興を何よりも優先しなくてはならない、ということだ。そして戦争前のヨーロッパは、人口、生産、消費、すべてがドイツ中心となっていた。そしてそれを支えるために貿易が必須となり、そのための輸送手段もドイツが中心だ。それを使ってアメリカとロシア(および各地の植民地)から食糧を輸入することで、人口増も支えられていた。



















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