2023年「4大不祥事」から見えた"日本企業の懸案" 日大、ビッグモーター、ジャニーズ、宝塚…
まず、世間を騒がせた大きな事件を見ていこう。
ビッグモーター保険金不正請求、旧ジャニーズ事務所の性加害問題、日大アメフト違法薬物問題、宝塚劇団員の転落死事件が「2023年の4大不祥事」と言ってよいだろう。
これらの問題には、以下のような共通点が見られる。
これらの事件は、2023年に新たに起こったものではなく、「以前からくすぶっていた問題が、2023年に顕在化した」と見るのが正しいだろう。
ビッグモーターに関しては、2022年から保険会社の自主調査で水増し請求などの不正が発覚、2023年に国土交通省・地方運輸局からの行政処分や立ち入り検査を受けている。
旧ジャニーズ事務所での性加害問題に至っては、過去に起きた事件である。
日大アメフト部の薬物問題は今年に起こった事件ではあるが、同じアメフト部で、2018年に部員による「危険タックル事件」が起きている。この度の事件は、5年を経ても組織の「健全化」が図られていないことを印象づけることになってしまった。
宝塚歌劇団のいじめ問題は、過去にも週刊誌で報道されたことはあったし、2022年にも「週刊文春」でハラスメント問題が報道されている。
つまり、過去の問題が組織の内部、ケースによっては外部からも見過ごされていたということになる。
初動対応を見誤ったのも、経営陣側に「これまでもやってきたが、大きな問題にはならなかった」「さほど深刻な問題ではない」「このまま乗り切れるだろう」といった見通しの甘さがあったためだろう。
この12月には、新たに発覚したダイハツの不正行為も加わり、「5大不祥事」と言えるようになるかもしれない。ダイハツの場合は、「初動対応に失敗した」とは必ずしも言えないが、上記の1、2を満たしており、重大かつ深刻な問題へと発展してきている。
たった1年のうちにこれだけの大問題が頻発していることを鑑み、まだ問題が顕在化していない企業も、自社の行動が現代の倫理基準に適合しているのか、いま一度見直す必要があるだろう。
顧客の迷惑行為には毅然とした対応を
2023年は飲食・食品がらみのトラブルも頻発した。コロナの収束によって外出機会が増えたことで、今年は店舗を起点とする“炎上案件”が目立った。
今年の初めに、「スシロー」「くら寿司」「はま寿司」の回転寿司チェーンにおいて相次いで顧客による迷惑行為の動画・画像が拡散、「寿司テロ」と呼ばれるに至った。それにとどまらず、うどん店「資さんうどん」、牛丼店「吉野家」、しゃぶしゃぶ店「しゃぶ葉」、ラーメン屋「ラーメン山岡家」などでも、顧客の迷惑行為が拡散して問題となった。
コロナ前は、従業員や店員による、いわゆる「バイトテロ」が目立っていたが、今年の迷惑行為は、顧客によるものが多く見られた。
その背景には、一般の人々が気軽に動画を配信するようになったことや、迷惑行為を行ってアクセスを稼いだり人々の注目を集めようとしたりする「迷惑系YouTuber」の影響もあるようだ。
顧客による問題行為に対して、企業側が厳しい対応を講じるようになっていることにも注目したい。
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