弱った心臓そのものを元気にする「心臓リハビリ」 「いきいきウォーキング」で死亡率を下げる
まず、虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)の患者さんが心臓リハビリを行うと、行わなかった場合に比べて、その後の心血管病による死亡率は26%低下し、再び入院するリスクが18%低下することがわかっています。そして、あらゆる入院が25%減少し、心不全による入院が39%減少することも証明されています。心臓リハビリを行うことで血管が広がり、体の隅々まで血液が行き届くようになります。血の巡りがスムーズになるので、結果として心臓の負担が軽くなり、失われた活力が戻ってくるのです。
また、医療界では、すべての病気において「どのような治療(医療技術)を行うのがいいか」を、4つの視点からランクづけしています。4つの視点とは「推奨クラス分類」「エビデンスレベル」「Minds推奨グレード」「Mindsエビデンス分類」というものです。それぞれ3〜7段階の指標があり、このうち「I」および「A」が最高ランクに位置づけられています。
心臓リハビリは、急性冠症候群(狭心症や心筋梗塞)、慢性心不全、心臓手術後、末梢動脈疾患、心臓移植後といった数多くの心臓病において「IAAI」という最高級の評価が与えられているのです。
まずは今の健康状態を知ろう
心臓リハビリを始める前に、注意していただきたいことがあります。それは、自分の健康状態を知ることです。心臓の状態がよくない人は、心臓リハビリメソッドを行ってはいけません。下の項目でセルフチェックしてみましょう。
・不安定狭心症や高度大動脈弁狭窄症、左室流出路狭窄の人
・急性心筋梗塞や急性心内膜炎、急性心筋炎、急性大動脈解離などを発症したばかりの人
・心不全の病状が不安定あるいは足のむくみ(浮腫)が強い人
・重篤あるいは病状が不安定な高血圧症、糖尿病、不整脈などの合併症がある人(空腹時の血糖が250mg/dℓ以上、最大血圧が180mmHg以上あるいは最小血圧が100mmHg以上)
・医師より運動を止められている人
心臓リハビリメソッドは、もともと心不全の患者さんでも安全にできる運動です。ただし、「急性期」にあたる場合は、医師や看護師、理学療法士などの監視下で、病気の回復程度や心臓の状態を随時チェックしながら行われています。早急に治療を行わなければならないほど心臓の状態がよくない人は、取り組んではいけません。さらに、空腹時の血糖が250mg╱dℓ以上の高血糖である人は、まずは血糖を下げる治療に専念してください。
また、最大血圧が180mm以上、あるいは最小血圧が100mm以上ある人も、優先するのは血圧を下げる治療です。その他、かかりつけの医師がいる場合は、どのくらいの運動をしてよいのか、またはどんな治療を優先するべきかなどの指示を仰ぎましょう。
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