パタゴニアも注力「サステナブルより先」の新概念 ステラマッカートニーも取組む世界最新の動き

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アパレル業界でリジェネレーションにいち早く取り組んだ企業としては、パタゴニアが有名です。

2012年に食品事業「プロヴィジョンズ」を立ち上げ、「リジェネラティブ農業」を取り入れた食料品の生産に力を入れています。

2017年には「リジェネラティブ・オーガニック認証制度」を立ち上げ、現在はその認証を取得した綿花農家を増やすことで、「リジェネラティブ農業」を広める取り組みに注力しています。

このような中、現在、リジェネレーションに取り組みはじめるアパレル企業が増えています。

アパレルの原材料調達は、綿花栽培や牧羊など自然に関わるものが多く、リジェネラティブ農業のアプローチを取り入れやすいからです。

「ザ・ノース・フェイス」など人気ブランドも

2021年、ザ・ノース・フェイスはアグリテック企業のIndigo Agと組み、綿花の栽培に同社のリジェネラティブ農法を取り入れ、CO2排出量の削減と栽培地周辺の生物多様性を回復させるプロジェクトを行うと発表しました。

2023年には、ステラマッカートニーがリジェネラティブコットンを100%使用したTシャツを発売。ステラマッカートニーは、現在のファッション業界においてリジェネラティブ農業は不可欠だとし、調達元であるトルコのソクタス社のリジェネラティブ農場拡大に取り組んでいます。

このように、アパレル企業にとってリジェネレーションは、原材料調達と新規事業機会という2つの観点で重要なコンセプトであり、今後踏み込んでいく企業が増えていくでしょう。

冒頭で紹介したCOP28において、国連のグテレス事務総長は「地球は破綻しつつある」と温暖化対策の遅れに強い危機感を示しました。会議では、化石燃料からの脱却や再生エネルギーの使用を3倍にすることなどにも合意されています。

しかしながら、CO2削減や化石燃料の使用量の抑制といった現状のアプローチでは、温暖化を止めるには不十分なこともわかりつつあります。

リジェネレーションのように、抜本的な自然の回復力を上げるような踏み込んだアプローチが、今後の社会、そして企業活動に求められていくでしょう。

福田 稔 KEARNEYシニアパートナー

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ふくだ みのる / Minoru Fukuda

慶應義塾大学卒業、IESEビジネススクール経営学修士(MBA)修了。電通国際情報サービス、欧州系戦略コンサルを経て、A.T. カーニー入社。主に、アパレル・繊維、ラグジュアリー、化粧品、小売、飲料、ネットサービスなどのライフスタイル領域を中心に、戦略策定・ブランドマネジメント・グリーントランスフォーメーション・DX等のコンサルティングに従事。プライベートエクイティやスタートアップへの支援経験も豊富。経済産業省の産業構造審議会 繊維産業小委員会委員、繊維製品における資源循環システム検討会委員、ファッション未来研究会副座長。著書に『2030年アパレルの未来』『2040年アパレルの未来』(共に東洋経済新報社)がある。

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