わずか2年で「6割値上げ」名物ラーメン店主の激白 インボイスも影響、消費税抜きで1000円の壁超え

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インボイス制度で世の中が消費税を強く意識するこのタイミングで、甲斐さんは税抜き1000円、つまり1100円で打ち出すことに決めた。

「博多ラーメン 1100円(税込み)」の文字(筆者撮影)

「1100円のラーメンでも、お店がいただけるのは1000円です。税込み1000円では『1000円の壁』を超えたとはいえない。それを業界全体に意識付けたいなと。

私が調べた限り、博多ラーメンで1100円をつけているお店はないと思います。いつかはそういう時代が来るとは思っていますが、他力本願ではなく、自分がプライスリーダーになることを決意したんです」(甲斐さん)

ラーメン業界全体への提案でもある

これは「でぶちゃん」の今後を考えての選択というだけではなく、ラーメン業界全体への提案でもある。

博多ラーメンが東京では1100円で出せる食べ物であることを証明するとともに、食材費だけではなく、職人の“技術”も価値であるということを伝えたいという思いが大きい。

「博多ラーメンは価格の面では清湯系にかなり後れをとってきました。店の雰囲気やしつらえなど、ラーメン以外の部分も大きかったと思います。
ですが、それを落ち度とは捉えず、食べてくれたお客さんがクオリティが価格に見合っているか納得してもらえればいいと考えています」(甲斐さん)

(写真は甲斐さんの提供)

博多ラーメンは原価をかけるのではなく、“技術”だけで美味しくできるため、安く提供すべきものだという思いが甲斐さんの中にもあった。だが、これからのラーメン業界の発展を考えたときに、技術に見合った価格をつけることが必要だと強く思ったのだという。

豚骨ラーメンの世界からの評価が高まり続ける一方で、「ラーメンは国民食」という意識が強いためか価格がついてこなかった歴史。それをひとつのお店の動きから変えようという思いだ。

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井手隊長 ラーメンライター/ミュージシャン

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いでたいちょう / Idetaicho

全国47都道府県のラーメンを食べ歩くラーメンライター。「東洋経済オンライン」「マイナビニュース」「AERAdot.」等の連載のほか、コンテスト審査員、番組・イベントMCなどで活躍中。近年はラーメンの「1000円の壁」問題や「町中華の衰退事情」、「個人店の事業承継」など、ラーメン業界をめぐる現状を精力的に取材。テレビ・ネット番組への出演は「羽鳥慎一モーニングショー」「ABEMA的ニュースショー」「熱狂マニアさん!」「5時に夢中!」など多数。その他、ミュージシャンとして、サザンオールスターズのトリビュートバンド「井手隊長バンド」や、昭和歌謡・オールディーズユニット「フカイデカフェ」でも活動。著書に「できる人だけが知っている 『ここだけの話』を聞く技術」(秀和システム)がある。

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