裏金システムで露呈した自民党「構造腐敗」の本質 存亡の危機に直面、問われる岸田首相の判断

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派閥は各議員からの送金を受けてパーティーを開催。ホテルに食事代などを支払うが多額の資金が残る。所属議員に盆暮の手当てを支給するが、それでも残った億単位のカネを派閥幹部らで山分けする。

さらに、議員によっては、地元の企業などに多額のパーティー券を購入させ、いったん派閥に収めた後に大半を還流させる方式をとるケースも出てきた。キックバックと呼ばれる「第二の裏金」だ。派閥を事実上のマネーロンダリング(資金洗浄)の機関として利用しているともいえる。

安倍氏は2012年に政権に復帰。前の民主党政権を徹底的に批判し、金融緩和を柱とするアベノミクスを展開。7年8カ月の長期政権が続いた。安倍政治を推進する中核である安倍派は、着々と勢力を拡大。100人に達した(現在は99人)。

アベノミクスへの便乗

「第一」「第二」の裏金は20年ほど前から始まったとみられるが、民主党政権(2009~12年)下では自民党への献金は激減。裏金が急増したのは第二次安倍政権以降だとの見方が有力だ。派閥幹部がパーティー券を大量に売りさばき、一部は派閥に収め、残りは個人のポケットに入れた。

その資金は新顔候補の発掘や中堅・若手議員の選挙運動のテコ入れに使われた。最大派閥がアベノミクスで潤った大企業から巨額の資金を集め、それを選挙などに支出することでさらに最大派閥が維持される。アベノミクスへの便乗であり、構造腐敗である。

その裏金システムが明るみに出た。

まず、火だるまになったのが松野博一前官房長官だ。2019年から2年間、安倍派の事務総長を務めていたが、その時期を含めて1000万円を超えるキックバックを受けていた疑いが浮上した。同じ事務総長経験者の西村康稔前経済産業相、現職の事務総長の高木毅国会対策委員長、さらに萩生田光一政調会長、世耕弘成参院自民党幹事長の「5人衆」全員と座長の塩谷立元文部科学相が裏金を受け取っていたという。

安倍派の大野泰正、橋本聖子両参院議員、池田佳隆、谷川弥一両衆院議員にも多額の裏金が判明。安倍派事務局にパーティー券の購入代金をいったん納めて、その後にキックバックを受けて、自由に使ったとみられる。政治資金規正法のほか、所得税法違反(脱税)の疑いが出ている。

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