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自民党の裏金問題「リーダーシップ不在」の深刻 安倍派は触法行為と認識しながら手つけられず

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当事者らが責任の自覚を欠く自民党の裏金問題。触法行為を是正できなかったことは深刻極まりない。

1月11日、自民党の政治刷新本部の初会合であいさつする岸田首相。首相自ら本部長を務め、改革を急ぐ(写真提供:共同通信社)

昨年末以来、自由民主党の派閥によるパーティー券の裏金化問題が、永田町を大きく揺るがしている。来る通常国会の召集日をにらんで、東京地検は捜査を急ぐ。1月7日には証拠隠滅のおそれありとして、安倍派に所属する池田佳隆衆議院議員と政策秘書の2名を政治資金規正法違反の疑いで逮捕した。

事態はいまだ流動的とはいえ、事件の焦点は安倍派と二階派に絞られてきている。安倍派は、所属議員がノルマを超えて集めたパーティー券のキックバック(還流)分について、政治資金収支報告書への不記載を派閥ぐるみで行っていた。派閥を経由せずに「中抜き」された分を含めて、直近の5年間で6億円程度が裏金化したとみられる。

二階派の場合、所属議員に「中抜き」された分と合わせ、2億円のパーティー収入が、派閥の収支報告書に不記載であったと報じられている。安倍派に比べて悪質性が低いとみられるが、派閥自体に約1億円の裏金が残ったことから、二階派のほうが悪質ではないかという見方も存在する。

安倍元首相はキックバックを問題視していた

安倍派については、この間、新たな事実が判明している。2022年当時、会長を務めていた安倍晋三元首相がキックバックの手続きを不透明と問題視し、事務総長の西村康稔前経済産業相ら派閥幹部および会計責任者の職員と協議を行い、いったん中止が決められたという事実だ。

次ページ罪の意識が乏しい安倍派の政治家
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