岸田首相「絶体絶命」のはずが"自信満々"のなぜ "鈍感力"で「任期完投」どころか再選も視野

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その一方で、ここ数週間、多くのメディアが政局そっちのけで報道し続けたのが、アメリカ・大リーグの大谷翔平選手の球団移籍を巡る話題。なかでも、ロサンゼルス・ドジャースへの移籍会見で大谷選手が明かした愛犬の名前の「デコピン」は、すぐさまX(旧Twitter)でトレンド1位となった。

この「デコピン」は日本語で、ウィキペディアで検索すると「対峙した相手の額を中指で弾く行為の総称」とある。だとすれば、「野党だけでなく、多くの国民が今、岸田首相のおでこを指で弾きたいはず」(政治アナリスト)とも揶揄されている。

国民感情との「ミスマッチ」で政治不信拡大

岸田首相は16日から18日までの3日間、東京・迎賓館などで開催された日本と東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟9カ国の首脳らによる特別首脳会議の議長役として、高揚した表情で首脳外交にいそしんだが、メディアの冷淡な報道ぶりばかりが目立った。

さらに、それに先立つ15日の「安倍派一掃」の交代人事翌日の初閣議前の閣僚応接室でも笑顔をはじけさせ、その表情を放映したテレビニュースには、ネット上に「危機感がなさすぎ」「脳天気にしか見えない」などの怒りの書き込みが相次いだ。

こうした「国民感情と岸田首相の言動とのミスマッチが、事態の悪化につながっている」(閣僚経験者)のは否定しようがなく、「(岸田首相が)それを“鈍感力”で乗り越えようとすれば、国民の政治不信拡大は必至」(同)であることは間違いなさそうだ。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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