ヤマト運輸の大幅遅延に「私たちができること」 物流2024年問題を前に消費者側の努力も重要だ

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物流領域における生産性の向上や省人化が叫ばれている。そして、私たち“物流サービスを享受する立場”から何ができるか。これを考えるのが当稿の役割だ。

日本の物流の状況は? 輸送トン数は意外にも…

ところで、私は物流の状況についてインタビューを受けたり、個人的に質問をされたりする。そのときに「日本で運ばれている貨物は減っているんですよ」という。すると、印象とまったく違うからか、驚かれる。

たとえば、さまざまな統計があるが、「日本のトラック輸送 産業現状と課題 2022(全日本トラック協会)」等を見てみよう。そこで、「輸送トン数の推移」を確認すると減少しているとわかる。

冷静にいえば「輸送トンキロの推移」という指標がある。これは、トン=重さ、だけではなく、キロ=距離をかけあわせたものだ。それを見ても、減少、あるいは横ばいという傾向が見て取れるだろう。

減少、もしくは横ばいなのが見て取れる(「日本のトラック輸送 産業現状と課題 2022(全日本トラック協会)」より)

その理由は、端的に3つである。

①まず日本は製造業が海外に流れていた。したがって、もっとも大きな製造業の企業間物流が減少していった。

次に②経済のソフト化だ。日本が脱ものづくりに動くと同時に、現在ではGAFAMを代表とするようなソフト・ITが経済の主流になった。Amazonは例外だが、基本的にはモノを介在しないビジネスが多くなった。

そして③はトラック運転手不足でそもそも運べない。これは予想された未来だった。古くは、2008年9月に国土交通省は「輸送の安全向上のための優良な労働力(トラックドライバー)確保対策の検討」という報告書を発表し、ドライバーがいなくなると予想し、そのとおりになった。

この数値が、印象と異なるのは、きっと個人の買い物ではECばかりになっているためではないだろうか。たとえば「我が国の物流を取り巻く現状と取組状況」(経済産業省・国土交通省・農林水産省)を見てみよう。

ここでは「物流の現状:EC市場の推移・規模、宅配便取扱個数・再配達率」という項目が設けられており、EC市場の急増と宅配便取扱実績が急増しているとわかる。

EC市場の急増と、宅配便取扱実績の急増がわかる(「日本のトラック輸送 産業現状と課題 2022(全日本トラック協会)」より)
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