「年俸10億円コーチ」に共通する3つの問いかけ 夢の国でも実践!現場の知見とデータの掛け算
では、この潮流から私たちビジネスパーソンは何を学べるのでしょう。今からでも大急ぎでデータサイエンスの高度な分析スキルを習得すべきでしょうか? それも素晴らしいですが、ハードルは少々高いように感じるかもしれません。分析手法は常に進化していくもので、その意味で時代ごとのトレンドと見ることもできます。
「データ分析」でネット検索すれば、構築済みのデータ分析サービスや分析プラットフォームがすぐに見つかります。しかも、すでに世に出ているサービスのいくつかは、データサイエンスの専門知識が豊富でなくても使えるように設計されています。
ビジネスパーソンがまず学べることは、データサイエンスの思考法です。「自ら仮説を立て、検証する」プロセスを繰り返す思考はどのような環境下でも通用するサステナブルなものです。2020年代を生き抜くビジネスパーソンにとっての必須項目は、自ら仮説を立てて検証する、すなわちデータサイエンス思考を身につけることです。あなたが今どんな仕事をしていても、どんなポジションについていても、何歳であっても、です。
その思考法を足掛かりとして、さらに興味があればそこからデータ分析の具体的なスキルの習得に進むことも可能でしょう。
データサイエンス思考が身につく3つの問いかけ
では、「自ら仮説を立てて検証する」データサイエンス思考を身につけるためには何から手をつければよいでしょうか。
まず、ステップ0として提案したいのは、「餅は餅屋」精神を捨て去ることです。システム開発をITベンダーに丸投げする感覚で、「データ分析も専門家にまかせておけばいい」と自分や自部署から切り離していては、いつまで経ってもデータ感覚・データサイエンス思考は身につきません。
「自分の領域ではない」と決めつける思考から脱却し、数値やデータを読み解く専門人材であるデータサイエンティストを、ビジョンを共有する対等なパートナーとして捉えましょう。
その上で、データサイエンス思考の素地となるのは、データに向き合う基本姿勢=データリテラシーです。専門人材と協働しながらビジネスパーソンとしてのデータリテラシーを鍛えるために、次の「3つの問いかけ」が普段のビジネスで実行できているかを一度あらためてチェックしてみてください。
まずは今あるデータをもとに事実確認と一旦のデータ活用の目的設定を行いましょう。あなたが新商品の開発担当者であれば、顧客は誰なのか、競合他社と比べてどのような位置にいるか、既存商品のどこに課題があるのか、を精査することが初めの問いになるでしょう。
課題を一旦設定したら、次はデータから一旦の検証結果を出す番です。なぜそうなっているのか、売上が落ちたのは商品改変のインパクトなのか……、全体の傾向をつかみ、データから明らかにしていきます。
ただし、多くの場合、事象は複合的であり、因果関係の証明は難しいものです。すぐに要因を決めつけるのではなく、「可能性がありそうな所見を洗い出していく」イメージが近いです。必要なデータを追加し、プロセスを繰り返すことでより結果は充実したものになります。