ひろゆきに憧れ「論破」しがちな人の残念な盲点 「論破なんてやたらめったらやるもんじゃない」

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「論破するのはダメなこと?」。現代人が気になるテーマを、もし哲学者とディベートしたらどう答えるのでしょうか(写真:Fast&Slow/PIXTA)
「人生、親ガチャで決まる?」「勝ち組に入るのがすべて?」「恋愛を避けて生きるのはアリ?」
そんな、現代人のわれわれが気になるテーマを、もし哲学者とディベートしたら、彼らはどう答えるのでしょうか?
富増章成さんが送る、まったく新しい角度の哲学入門書21世紀を生きる現代人のための哲学入門2.0:現代人の抱えるモヤモヤ、もしも哲学者にディベートでぶつけたらどうなる?より一部抜粋・再構成してお届けします。

ひろゆきさんのセリフが小学生の間で流行するなど、最近なにかと話題になる「論破」ブーム。実は哲学史にも通ずる部分があります。

かの有名なソクラテスは次々とソフィスト(当時弁論術を教えていた人々)を「論破」したことで有名ですが、実はその目的はむしろ、詭弁で議論に勝とうという考えに陥りがちであった彼らの無知を、自覚させることにあったとされています。

この「論破」は良いのか、あるいは悪いのか? もしも哲学マニアとひろゆきさんがディベートしてみたらどうなるのでしょうか? 「論破の人」と思われがちなひろゆきさんの、意外な一面も伺い知れるかもしれません。

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出所:『21世紀を生きる現代人のための哲学入門2.0:現代人の抱えるモヤモヤ、もしも哲学者にディベートでぶつけたらどうなる?』

論破するのはダメなこと? ひろゆきvs哲学マニア

哲学マニアのセリフ(以下、「哲」):「このテーマは、論破王ひろゆきさんにピッタリですね。」

ひろゆきのセリフ(以下、「ひ」):「あ、でも最初にお断りしておくと、おいらは論破王と呼ばれていますが、自分で論破王を自称したことなんて一度もないですからね。『はい、論破』なんてまったくいったことないんですよ。」

:「そうなのですね。テレビでよく論破している姿をお見かけするので、てっきりいつも論破をしたい方なのかと……。」

:「そんなわけないじゃないですか~。ことあるごとにいってるんですけど、どうも伝わらないんですよねぇ……。哲学マニアさんは、どちらの立場を取られるんですか?」

:「私は『YES』の立場でお願いできればと思います。」

:「はい~。そうなるとおいらは『NO』になるんですかね。」

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