23年「映画興収TOP10」前年超え興収も喜べない訳 アニメの大ヒットが支える興行に潜む危うさ

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年間のTOP10を見ると、アニメが4位までを独占。ここ数年続いているアニメのスーパーヒットが興行シーンを牽引していく構図は、今年も変わらない。4位以下では、邦画実写が4作ランクイン。近年の実写作品は10億円でヒットとされるなか、10位でも興収40億円を超えていることから、特に大手映画会社の邦画実写が好調だったことがわかる。

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23年映画興収ランキング

一方、洋画はハリウッド大作2作のみ。洋画離れが言われて久しいが、アニメをはじめ圧倒的な国内コンテンツの強さが、日本映画市場の特徴として浮き彫りになっている。

ジャンルごとに今年の注目作品を見ていくと、アニメでは『君たちはどう生きるか』が挙がる。宮崎駿監督が引退宣言を撤回し、監督、脚本を手がけた10年ぶりの長編新作であり、100億円以上が期待されていたが、現時点では86億円ほど。しかし、劇場上映はまだ続いている。

海外では、ニューヨーク映画批評家協会賞のアニメ映画賞を受賞したほか、第81回ゴールデングローブ賞のアニメ映画賞にノミネートされた。北米での大ヒットスタートや高評価のニュースも続いており、来年のアカデミー賞の長編アニメ映画賞に絡んでくることも期待できる

その状況次第にもなるが、劇場上映は来年も続くため、じわじわと数字が上がっていく可能性もある。最終100億円超えは難しいかもしれないが、この先もまだまだ注目すべき作品だ。

久々の大ヒット「テレビ局映画」の底力

今年最大のトピックは邦画実写だ。ここ数年にわたってヒット規模が縮小していたなか、『キングダム 運命の炎』の56億円をはじめ、『ゴジラ −1.0』(50億円以上)、『ミステリと言う勿れ』(47.4億円)、『劇場版 TOKYO MER~走る緊急救命室~』(45.3億円)と50億円クラスの大ヒットが続々と生まれた。

とくにテレビ局製作のドラマ映画は、近年なかなかヒットに恵まれず苦戦が続いていたが、『ミステリと言う勿れ』と『TOKYO MER』はシリーズものではない新作での大ヒット。時代性とマッチし、観客の関心に刺さる内容であれば、ドラマの映画化はいまの時代でもここまでのムーブメントを生み出せることを示した。

ただ、今年のドラマ映画は数も多く、ヒットしなかった作品も少なくない。結果が両極端に分れた印象だ。

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