佐川急便「2年連続値上げ」への危機感とプライド 本村社長が訴える「価格転嫁が進まない」大問題

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――2024年問題の残業規制は、業界にどんな影響がありますか?

上限規制はいいことだと思っている。トラックドライバーは全業種平均よりも労働時間が長く、賃金は低い。そんな状況を変えていかなければ、物流業、トラックドライバーに人は集まらず、さらに減っていくだろう。業界全体で待遇を見直していかないとだめだ。

われわれも、佐川急便だけでインフラが完結しているわけではない。自社で2万6000台強、それ以外にパートナー企業の6万台強が宅配便のために走っている。人数は10万人を超える。

今期は社員の給与を引き上げたが、パートナー企業からの値上げ要請もあるので、委託費も見直し、徐々に引き上げている。委託費を引き上げなければ、佐川急便の仕事を受けてもらえなくなる。

効率化なども進めるが、インフラを維持するためには、お客様に値上げをお願いするしかない。それが物流業界にとって必要なことだと思う。

――配送品質を維持するため、ということでしょうか?

パートナー企業の配送品質もそうだし、宅配便も同じだ。サービスは今以上に高めたいと思っている。宅配便では大手が3社あり、品質が低ければ顧客に選ばれない。そのためにも品質はできればナンバーワンにしていきたい。

品質とは、例えば東京から大阪へ荷物が翌日にきちんと届くこと。荷物が壊れる事故などをゼロに近づけること。身だしなみや言動など顧客に対する応対などもそうだ。もっと安心して利用していただけるようにしたい。佐川急便を選んでもらえるようにしていく。

大規模物流センターへの投資も進めた

――佐川急便は10年ほど前から、量だけでなく採算面も重視して仕事を獲得してきました。

1個の荷物に対してどれだけのコストがかかっているか分析する仕組みができた頃だ。1日1個出荷する顧客も、5000個出荷する顧客もいて、集配・配達コストは異なる。それが明確になり、適切な金額を見積もりできるようになった。車両の代金や燃料費、人件費も上がる中で、適正な運賃をいただこうと活動を続けてきた。

一方で投資も進めてきた。2020年に稼働した大規模物流センター「Xフロンティア」などは荷物の増加に対応するためだ。コロナ禍では宅配便の荷物が急増したが、Xフロンティアがなければ遅配が生じていたかもしれない。

現在も関西や関東で新たな物流センターを計画している。拠点を集約してトラック数を削減したり、自動化で作業負担を軽減したりするなど、省人化も進めている。

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