次のケースを大人たちはどのように捉えるでしょうか。
子どもたちの多くが親に言われなくても自ら進んで行うことがあります。そう、「ゲーム」です。
子どもたちはゲームをやるときは自己効力感が高くなり、やる気に満ち、忍耐強く、しかも主体性を発揮しています。またオンラインゲームでは友人たちとコミュニケーションを取りながら、しかるべき目標に向けて協働的にゲームを遂行していきます。
これは非認知能力が働いているとは言えないでしょうか?
大人たちが子どもの非認知能力が低いという場合、それは正確に表現すれば「大人の都合で大人の希望する対象についての非認知能力を高めたい」という意味ではないかと考えます。
その代表例が「勉強」です。
勉強を嫌がる子は、非認知能力が欠如しているのではなく、勉強に対して非認知能力が発揮できない状態になってしまっているのではないでしょうか。
その原因のひとつとして、勉強を面白く、楽しく学ぶ経験が少ないことが考えられます。つまり、「指導方法に問題がある」ことだと筆者は思っています。現に子どもたちのやる気を上手に引き出す教員たち、講師たちの授業について、子どもたちは楽しいと言います。楽しいので、もっと学びたいとすら言ってくるわけです。
子どもたちがもともと持っている非認知能力は、このように指導のされ方によって発揮される場合もあれば、そうではない場合もあります。それを大人側の論理で、勝手に子どもの非認知能力の問題にしているのかもしれません。
これが、これまで4000人以上の小中高生を直接指導し、同じ数の子どもたちの人生ドラマを見てきた筆者の結論です。
身につけさせるのでなく「引き出す」
確かに非認知能力は大切な力です。しかし重要な視点は非認知能力を子どもに身につけさせるのでなく、「引き出す」ことだと考えます。筆者はこれを「教育」と呼んでいます。
子どもたちに非認知能力を身につけさせたいと思うと、身につけるための方法を押しつける可能性があります。すると、つまらない勉強をつまらないままやらせかねません。しかしもともと、非認知能力がもともとあると考えれば、対応はまったく変わります。上手に子どもの気持ちを上げていくような計らいをするはずです。
そこで、今回ご相談くださった秋山さんには、お子さんの非認知能力を高める方法ではなく、親が望む対象(勉強)に対してもともと子どもたちが持っている非認知能力と“接続する方法”についてお伝えします。
子どもたちは「面白い、楽しい」ことには持続性、集中力、粘り強さ、やる気などを発揮します。前述した「ゲーム」のほか、「クイズ」「なぞなぞ」「アニメ(漫画)」を加えた4つは、比較的容易に子どもたちがハマッていく対象の代表例です。
では、これらになぜハマるのかと言えば、その背景には子どもたちの気持ちを高めるための「具体化」「制限時間」「ヒント」「見える化」の4つの要素があると考えます。
親から強制されずとも勉強をする子どもたちの頭では、これらが自動的に“起動”しています。生来的にそのようなことができる“変換装置(一見つまらないものを面白くする)”がついているようにも思えます。筆者の経験ではそのような子はざっと全体の5%ほどしかいません。大半の子どもたちはその“変換装置”がついていません。ですから大人が手を貸して、変換できるようにサポートしてあげる必要があるのです。
しかしいつまでも大人が変換していては子どもの自主性はそれこそ出てきません。そこで次の2つのステップをぜひ試してみてください。
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