報酬を払うとアウト?意外と知らない「ステマの罠」 「トラブル」を回避する法律知識と正しい対応

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これまでステマに関して、「不適切である」との指摘はされており、消費者庁のガイドラインでも「問題になる」との指摘もありましたが、これを直接規制する法律はなく、あくまで業界の自主規制に委ねられていました。しかし、2023年10月より、ステマ(一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示)が規制の対象となりました。

これにより、関係者が第三者を装って口コミ投稿したり、対価を受けたインフルエンサーが「広告」「プロモーション」「PR」「A社からの商品の提供を受けて投稿している」など、広告であることが明らかである旨を示さずに広告することなどが規制の対象となります。なお、自社商品の高評価依頼だけでなく、他社製品の低評価を依頼することも違反となります。

「ステマの罠」を回避する知識が必要

上記の自治体側は、新聞社の取材を受けた後に、動画の概要欄に「提供:〇〇協議会」と追記し、動画にも「プロモーションを含みます」と明示しました。

最初から、そのように明示していれば、何ら問題はありませんでした。せっかくの記念の年に観光施策を盛り上げようとやったことが、このステマによって視聴者の信用を失墜させてしまったわけです。これは、担当者や管理者がそういう仕組みを知らなかったのでしょう。

インフルエンサー・マーケティングは、当たり前のプロモーション施策として定着しています。著名ユーチューバーなど、影響力が大きく、引っ張りだこになっているインフルエンサーもいます。ただし一方で、その影響力が真実かどうかわからない「自称」インフルエンサーもおり、海外のインフルエンサーに莫大な謝礼を支払ってインバウンド誘致している自治体もあります。

口コミ宣伝という新しい手法にまだ慣れていない方は、インフルエンサーの活用についてはよく検討し、表示にも注意する必要があります。

(構成:間杉俊彦)

北田 明子 広報・PR、危機管理広報アドバイザー

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きただ あきこ / Akiko Kitada

大学卒業後、1983年大阪読売新聞社入社。89年同社退職後イギリスに留学。帰国後フリーランスの経済誌記者などを経て、2001年対中国投資コンサル会社の副総経理として中国に駐在。05年に帰国後、危機管理広報を中心とした広報アドバイザーとして活動。11年民間から大阪市交通局の広報課長に就任。19年堺市の広報戦略専門官に就任。22年に堺市を退職後は文筆活動のかたわら、民間や自治体の広報アドバイザーとして活動中。22年より滋賀県公文書管理・個人情報保護・情報公開審議会委員。主な著書に『笑うヤミ金融』(ダイヤモンド社)、『企業法務と広報』(共著・民事法研究会)、『企業の法務リスク』(共著・民事法研究会)がある。

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